未来へようこそ、人材業界に変革をもたらすAI時代

近年、人工知能(AI)が議論に挙がることが多い時代になりました。もはやAIという文字を見ないという日はないくらいです。このテクノロジーによって日々新しい発見や技術発展が行われています。

例えば、今日の研究報告によるとFacebookはAIをテロリズムに関連するコンテンツの排除をしたり、自殺を誘発するようなコンテンツの排除を行なっています。Google傘下のDeepMIndという企業のAI技術は、囲碁の分野において完全にプロを超えるものとなりました。

一方で、とある報道によると自動運転技術のパイオニアは非営利の宗教団体を作ったと言われています。その目的は、AI技術を用いて神の現実化を図るというものでした。

もちろんこの報道は大きな波紋呼びました。数多くの企業が参入している自動運転に関するAIやアンドロイド型のロボットを動かすAIなどなどAIに関する問題は倫理的な問題も技術的な問題も山積みと言えるでしょう。

一方でAIの技術はもう申し分のないものとなり、以前まではサイエンスフィクションと言われてきましたが、今日ではそれはもはや空想ではなく現実のものとなったと言えるでしょう。もはや私たちが子供のことに見てきた映画の世界はすぐそこにあるのです。

求人という観点でもそれは例外ではありません。仕事の世界といえば、AIは既に従業員を雇う方法や、仕事を探すという観点でも変革をもたらし始めています。少なくとも、現代の人々が直面するプロフェッショナルな仕事に就くことや個人の人生を豊かにするために一役買っていると言っても過言ではありません。

それではテクノロジーの発展がいかに就職活動や求人業界を変え、良い影響をもたらしたかについてみてみよう。

機械によるジョブマッチング

採用担当者であるあなたが、人材を募集することにおけるAIがもたらす影響に不安を覚えることは当然のことでしょう。おそらくあなたは人が介在しないような世界を思い描いているでしょう。マシンこそがクライアントであり、人の温もりがないような世界です。もしくは下手をすると、ヒューマノイドロボットが思考をし喋るようになり、あなたの仕事上でのポジションを奪ってしまうことを心配しているかもしれませんね。映画みたいにもしかすると会社もまたは世界そのものがロボットに取って替わられるかもしれませんね。

しかし、実際のところAIというものはあくまでも我々の生活を便利にするためのツールに過ぎません。むしろ、そう考えなければやってられませんね。

採用担当者であれば当然、募集ポジションと求職者間でのマッチングを最大化したいと考えるのが当然です。せっかく雇ってもすぐやめらてしまうと時間や金銭的コストが全て無題になってしまうますからね。採用担当のあなたの評価にも関わってきます。関連するデータ情報によりアクセスできることにより、採用担当であるあなたは人材募集をマッチング率という観点において最大限そのアドバンテージを利用することができます。

問題なのは人間では扱いきれないほどの多すぎるデータです。私たちはいつも何かをするためにどこからどうやってどんなデータが必要なのかわかっているわけではありません。これは求人業界だけではなく、どんな分野でも共通して言えることであります。

AI技術は精度の高いマッチングをする確率を上げることができます。求職者への仕事のサジェストがどのような仕組みになっているか簡単に解説すると、アルゴリズムが情報を解析して、もっとも関連性のある仕事を選び出すというフローを辿るのが一連の流れとなります。

例えば、求人広告の説明欄が不明瞭であったり、空欄だらけだったとしましょう。アルゴリズムというものは誰もが通常検索しないようなユニークな仕事内容などを予測するところから始めます。

アルゴリズムが解析しやすいような我々にも親しみのある言葉を使うことで、文字が多すぎる情報やヘンテコな履歴書や職務経歴書をよりピンポイントでより求職者にとって理想的で具体的で関連性のある仕事を見つけ出すことができます。

その結果どうなるでしょう?求職者は彼らがみたいと思うような情報に集中することができ、考えを巡らせるためのより有益な情報を得ることができます。より洗練された情報が出てくるので採用担当者にとっても求職者に取っても時間や手間が省けます。お互いにとって無駄のない効率的な就職活動と言えるでしょう。

AIを使うことでバイアスを回避

AIを使うことのメリットは手間の省略化やマッチング率向上だけではありません。その他、人事や採用に関わることを多岐に渡りこなすことが可能です。特に今日ではサイバーセキュリティーの問題などもしばしば企業の株価や経営に影響するトレンドがあることから、応募者の個人情報を守るということはとても重要なことになってきています。履歴書が流出してしまえば、名前、生年月日、住所、顔写真全てが丸裸にされます。偽造パスポートなんてものが作られもおかしくありません。詐欺などに利用されてしまうケースもきっとあるでしょうね。AIは信号を用いることでデータが流出したりないように危険なサイトや掲示板を特定する役割も兼ねることが可能です。

そして我々人間のバイアスを減少されることにも一役買っています。事部や採用担当者は自動評価における新しいテクノロジーを用いることにより、応募者が実際に特定の仕事をするときのパフォーマンスを客観的に洞察することができるようになります。

これはどのような仕組みになっているのでしょうか。ヨーロッパにのとあるコンタクトセンターは多言語化しているヨーロッパでのビジネスに対応できるよう7つの言語を入手する必要があります。そのため一般的に、応募プロセスにおいて言語に精通している人つまりバイリンガルのような人々を募集しています。

しかし多くの候補者や多彩な言語が使える人々を評価することは、人材不足の問題になるだけではなくて、採用プロセスにおいて多くの主観性を孕んでいることになりかねません。

その代わりに、従業員はAI技術をベースとした言語熟達評価を用いました。一見、SFの世界のような話にも思えますが、もう実際に起きているのです。候補者は各々、人工知能を相手に10分間の電話面談を行います。この会話を通してAIは候補者の言語スキル、流暢さ、コミュニケーションスキルなどを図ります。

その結果として、よりストレスフルで、より効率的な採用プロセスを誕生させることに成功しました。まだまだこれは人工知能技術の始まりであり氷山の一角でしかありません。

新卒採用の救世主

実は日本企業でも実質的にAIによる選考プロセスが実施され始めています。特に日本の場合は諸外国と違い、新卒一括採用があるため、AIを用いて会社側の負担を減らし、採用プロセスの効率化を図るという点ではかなりの恩恵を受けることができます。2017年にはソフトバンクが’書類選考にAI技術を利用したのを皮切りに、2018年11月には吉野家がアルバイト採用にAI導入を開始、さらに試験導入を行ってきたサッポロビールが2019年度卒採用から本格導入をすることを発表するなど大手企業を中心にどんどんと導入が進んでいます。そのほかにもリクルートグループや三井住友グループなど大手企業がAI技術を用いた選考プロセスを検討していると調査で明らかになりました。

2018年度3月実施のHR総研の調査によると2019年度新卒採用でAI技術の活用を検討している企業は11%だったのに対し、実際に活用をしている、し始めたという企業はわずか2%しかいなかったということがわかりました。

大手企業に限定されてしまうのは設備投資のコストもさることながら、人工知能がディープラーニングをするための十分な量のデータが取れないことが挙げられます。

それでもやはり結果的にAI選考のおかげでソフトバンクは75%、サッポロビールでは40%も書類選考の時間を短縮できたと言います。人気企業では特にその恩恵受けることができます。大量のエントリーシートが集まる一方でその知名度の高さのあまり企業研究などが甘い学生も多く含まれると言います。過去のエントリーシートのコピーをオンライン上の情報を参照したり、手を抜いていると思われるエントリーシートのパターンがAIによって認識できればそれらを除外することができ大幅な時間削減と効率化に繋げることができます。

ある意味ではAIは人間が抱きがちな偏見を取り除いてくれます。例えば、採用担当者と出身大学が同じだから、知り合いだからというような潜在的に潜む縁故採用を排除することも可能です。

内定を辞退する可能性が高い学生を炙り出すこともできます。ある企業ではフォローすべき学生を優先順位づけした結果、内定承諾率が過去と比べて大幅に上がったとの報告もあります。

さらに最近ではソーシャルメディア採用と呼ばれ、ソーシャルメディア上でのフォロワーの数や発言などを元に採用を行うような企業もあります。以前までは、ソーシャルメディアの活動が就職活動においてネガティブに作用するものとされてきましたが、AI時代には全く反対に有効に活用することも可能です。

AIがソーシャルメディア上での発言やフォローしている層やフォロワーの層を解析することで求職者の性格的なものを診断し、マッチングにつなげるといった未来もすぐにやってくるでしょう。人力では既に始まり求人業界では話題の新しい採用方法としてメディアなどでも取り上げられていますが、人力には限界がきます。それをいかにAIが代替するか、その技術をしっかりと活用するまでに至れるのかという経済的、技術的関門が残ります。

求職者にとってもラッキー

特に学生の新卒一括採用に言えることであるが、採用担当者の好みで選ばれるというある種の運ゲー要素が排除されるので対策が立てやすかったりします。ES担当者の気分次第での採用や容姿採用を防ぐことのできるという利点もあります。

また選考の時間が大幅に短縮されることで結果を早く受け取り、就活のスケジュールが立てやすいというメリットもあります。転職でも同じことでもしも求職者が仕事を既にやめてしまっている場合、生活のためにも1日も早く働き始めることが大切だったりします。

しかし実際のところ調査によると実は学生側からはかなり批判的な声も上がっています。学生の中でもAI採用に関して容認派はわずか2割ほどに留まっていると言われています。その声を見ているとコンピューターに自身を判断されたくないとの意見や、時間をかけて書いているESを企業側が読まないのはおかしいというものでした。

人間以上に人間らしいAI

採用活動においてAIを利用するということは様々な項目を定量化し、データで見るということにおいてはある種公平とも言えます。しかし、時としてAIが完璧な存在ではないということを示したニュースがあります。それは米大手Eコマース会社Amazon.comの例を挙げてみましょう。実はアマゾンはEコマースサイトの運営だけではなくソフトウェア開発およびAIの研究にも力をそそでいます。2014年から優秀な人材をコンピューターを駆使して採用するため、専任チームが履歴書を審査するプログラムの開発に従事してきました。

ところが1年も経たないうちに彼らはソフトウェア開発などの技術職においての採用プロセスでは女性を採用しないようなプログラムへと成長してしまったことが判明しました。これは過去10年間にわたって提出させた履歴書のパターンを学習させたため女性の技術職採用のデータが圧倒的に男性に比べて少なかったためでありました。結果として、システムは男性を採用するのが良いという結果を導きだす存在になってしまいました。皮肉にもバイアスがかかっていない公正さがある一方である種人間以上に人間らしい知能を巡らせるようになってしまったのでした。

アマゾンはこの結果を受けてプログラムの修正をしましたが、別の差別を引き起こす要素がないということは保証できないということが判明し、最終的にチームは2017年に解散となってしまいました。

米国の人材会社キャリアビルダーが2017年に行なった調査によると、米国企業に人事幹部の約55%ほどがAIが仕事の一部に組み込まれると考察しました。

日本と世界の市場とAI採用

日本は世界的にも珍しい新卒一括採用を行なっている国であることや、人材関係の会社が労働人口に対して非常に高い割合を占めていることから世界のトレンドとは少し外れるまたは圧倒的に遅れると予測されます。

米国では日本よりも圧倒的に早く人工知能の導入化が進んでおり、技術革新という点で圧倒的に引けを取っているのが現状です。働き方改革などで労働に対しての見解が変わってきていたり、新卒一括採用を見直す企業が出てきたりと少しずつ変化がある一方で、内定辞退やオワハラ、お祈りメールなんていう言葉が毎年のように出てくるようでは法的なルールの規定なども含めて日本がAI採用を全面的に受け入れるにはまだまだ時間がかかるということが予測できます。

これからの時代に準備しておきたいこと

採用担当者としてこれからどんなテクノロジーを使った採用に関して何をするべきでしょうか。無論、IBM WATSONのような人工知能の導入ができれば良いのですがそんな予算が湧いて出てくるわけでもありません。旧来の求人サイトにお金をかけるのではなく2019年から始まったGoogle for Jobsを使いましょう。コツさえ抑えれば求職サイトへの手数料を払うことなくマッチング率の高い人材を確保することができます。

人工知能にできない採用方法

どうか安心して欲しいのは、いくらAIを中心とした人工知能が発展して行くからといい、採用担当者の仕事がAIに完全に代替されるというわけではありません。AIはあくまで私たちの仕事を補助したり効率化したりするためのツールでしかないのです。

現代に生きる我々人間による仕事や技術、知恵というものはテクノロジーをうまく取り入れて利用しながら物事をスムーズに進めているということに基づいています。しかしそれ以上に、テクノロジーがいかように発展しようと、どれだけ進歩しようと、人事採用というものは基本的に人間が介在すべき仕事であると言えます。

求職者や従業員たちが採用担当者とうまくやっていくためには、信頼や献身やチームワークなどが必要ですが、これらは定量化するのは難しいですし、機械では図り得ないものです。そうなってくるとAIの役割はどうあるべきでしょうか?AIは採用担当者の仕事を効率化・時間短縮をし、彼らにもっと人間関係の面で求職者と向き合うような時間や余裕を与えることです。

すぐにやめない人材、能力の高い人材、コミュニケーション能力が’高い人材、職場の雰囲気似合いそうな人材など機械目線ではわからないことがまだまだ多いのが現状です。もちろんこれからもどんどんAI技術は発展していくでしょうし、何より人工知能と呼ばれるだけあり、自ら学習をするという素質を持っています。AIが完璧に発展しきったと言っても人の心がこもっていない決定に何らかの意味はあるのでしょうか。

人間の倫理感から考えると機械によって採用の合否が判断されるという未来には納得のいかない人の方が多いでしょう。つまり人事担当者の仕事はAIに奪われることなく、採用担当者は常に会社の人材の窓口であり続けるべきです。

囲碁では勝てても、採用担当者の洞察に勝るのはきっと難しいでしょうね。

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