副業解禁の波に乗るべき?メリットデメリット

2017年3月に「働き方改革実行計画」が策定されてから、副業を解禁している企業が増え続けています。他にも雑誌やテレビでも、副業を勧める特集を目にすることも増えてきていますが、果たしてこの副業解禁の波に乗るべきなのでしょうか?

また副業解禁にはメリットもありますが、デメリットもあります。この両方を理解せずに副業解禁を実施したら、企業にとって不利益となってしまう恐れも。そこで今回は副業におけるメリットデメリットについて解説しつつ、実際に取り組みを実施している企業を紹介していきます。

1.そもそもなぜ副業解禁となったのか?

昔は副業自体を認めない傾向にあったにもかかわらず、2016年9月に行われた「働き方改革実現会議」において、安倍首相自ら副業・兼業を普及していく活動をしていくことを公表しています。

働き方改革によって副業解禁となりましたが、なぜ副業が必要となる時代へと変化してきたのでしょうか?ここでは、副業解禁をした理由について解説していきます。

生産性の向上による経済活性化

副業解禁を謳った政府としては、副業を解禁することで大きな経済活性化を狙っている部分があります。副業は労働力を補うことも可能となってきますが、他にも新規事業における新しい技術開発や、収入面の不安を無くすことによって広がる新しい視野を取り入れることが可能となってくるのです。

多様な働き方の推進

副業解禁のもう一つの目的は、「多様な働き方の実現」です。仕事ができる身体であっても育児や介護、家庭の事情などにより働きたくても働けないという人が中にはいます。そんな中で家庭でも簡単に仕事ができる「リモートワーク」などを取り入れることによって、幅広い視野で仕事をすることが可能になったのです。

自律性の向上

副業をすると決意自体は自身で行っていくため、自分から行動を起こしていくという自律性を高めることに繋がっていきます。AIの進出や高度経済成長期に入っていく中で、求められるのは、自分で生きていくためのスキルです。どれだけ自分から率先してスキル向上や経験を積んでいくかで、今後の時代を順風満帆に過ごしていけるかが変わってきます。

2.副業解禁における働く人と企業側のメリット

では副業を解禁すると、働く人と企業側にはどのようなメリットが見込めるのでしょうか?ここでは、それぞれのメリットについて詳しくまとめていきます。

従業員が仕事にやりがいを持つようになる

仕事において何より大切なのが、仕事に対するやりがいです。人それぞれ働く意味は異なりますが、何より仕事をしていく中で自分がやっていて楽しいと感じる仕事でないと続きません。

副業を解禁することで、自分のやりたいことを仕事にするチャンスが増えます。働く人にとっては新しいことへの挑戦する機会となり、仕事に対してのやりがいを感じるようになるのです。

従業員のスキルや知識向上

これは働く人と企業側両方にメリットです。副業は自分が持ち合わせているスキルや知識を向上する機会でもあります。副業の種類は幅広く、本業では学ぶことができない経験を積むことができるのです。

企業側のメリットとして、副業先で得た経験をそのまま事業に反映することもできます。さらには副業先で得た人脈を活かせることでしょう。

新しいことへチャレンジする機会が増える

副業は今までにない仕事をする機会が増えるので、新しい仕事をしていくチャンスです。またこれから起業を考えている人にとっても、自分のビジネスの幅を広げるのに役立ちます。

新しいことにチャレンジした経験は、これからのキャリア形成にも活かされ、起業だけでなく転職などにも優位となるでしょう。

優秀な人材採用が可能に

企業側としては、常に優秀な人材を採用したいと考えていることでしょう。そんな中、副業解禁したことによって、新たな業種の人材が企業に面接に来ることも。

また副業をしようと考えている人のほとんどは、積極的に活動している人が多いので、仕事に対するモチベーションも高い傾向にあります。優秀かつ仕事に対して積極的な人ほど、仕事に対する責任感を持ち合わせているのです。

企業側はイメージアップに繋がる

人材募集をかけた場合、「副業OK」という項目があるだけで注目度が変わってきます。副業を解禁している企業は、世間から見ると「自由な働き方を推奨している企業」という位置付けになり、イメージアップへと繋がるのです。

さらにイメージアップをすることによって優秀な社員も集まりやすくなり、企業繁栄にもなります。よりよい職場風土を伝える手段として、「副業OK」は外せれないと言えるでしょう。

労働力不足の解消

多くの企業が持ち合わせている問題点として、労働力が不足しているという問題を抱えています。そんな中で副業解禁をしたことにより、新たなスキルを持った人材を採用することができ、労働力不足を解消します。

さらには生産性の向上や、新しいノウハウ伝授も図ることができます。そのおかげで、今まで取り入れることのなかった技術や能力を取り入れることが可能です。

3.副業解禁における働く人と企業側のデメリット

副業解禁にはメリットもありますが、デメリットも存在します。ここでは副業解禁におけるデメリットについて説明していきます。

本業となる仕事に支障をきたす

副業をしていく人のほとんどが、本業と掛け合わせて仕事をしていく人ばかりです。ただ中には副業の方に力を入れるあまり、本業を疎かにしてしまい企業に迷惑をかけてしまうこともあります。

他にも2つ以上の仕事をすることで、精神的にも体力的にも限界を超えてしまう恐れも。なので自分の能力をしっかりと見極めて、バランスよく仕事をしていくことが求められてきます。

信用を失ってしまう恐れも

副業解禁とは言え本業とは違う仕事をしているので、中には外部に自社の情報を流出しているのではないかという疑いを持つ人もいます。仕事をしていく上で大切な信用が、副業をすることによって無くなってしまう恐れがあるのです。

さらには本業で培った知識を副業に活かすと、取引先だけでなく、世間からの信用も失ってしまう恐れも。本業の知識を活かして副業を行っていく際には、十分注意していく必要があるでしょう。

健康管理が困難

本業以外の仕事をするということになるので、副業はやり方次第で体力を要します。本来なら休める時間帯に副業をすることによって、本業に支障をきたしてしまう恐れがあるのです。

せっかく副業を始めたとしても、身体を崩してしまっては元も子もありません。まずは自分の体力に合わせて副業を選んでいくことが大切となると言えるでしょう。

労働時間を管理する必要がある

働く人の問題点となりますが、副業を行うことによって労働時間が長くなってしまうので、自分で労働時間を管理しなくてはいけません。なぜなら管理をしないと、決まっている所定労働時間を超えてしまう恐れがあるからです。

副業に慣れてくると労働時間が長くなってしまう傾向にあるので、所定労働時間を超えてしまうこともしばしば。また体調を崩しがちになってしまうので、自分自身を管理しなくては副業をこなすことができなくなってしまうのです。

企業の機密情報の漏洩の恐れ

企業側のデメリットとなりますが、企業の機密情報が外部に流出してしまう恐れがあります。外部への情報流出は禁止されていますが、副業を解禁したことによって外部との接点が増えてしまうのです。

なので企業側は、副業を行う人に対して細心の注意を払っていく必要があります。報連相を徹底し、企業側と働く人と情報共有をしていくことで、機密情報の漏洩を防ぐことに繋がっていくのです。

4.副業解禁のための準備

副業解禁をしていく企業が増えてきている一方で、これから副業を解禁しようと考えている企業もいることでしょう。そこで副業解禁にあたって、準備しなくてはいけない事象を解説していきます

副業解禁する範囲を明確化する

今は働き方改革のおかげで副業解禁をしている企業が増えてきていますが、必ずしも全面的に副業を解禁しなくてはいけない、というわけではありません。また企業によっては全面的に副業を許している企業もあれば、就業規則でいくつかの部署を副業解禁にしている企業もあります。

またすべての副業を許してしまった場合も注意が必要です。例えば風俗などの社会的地位を下げかねない副業を従業員が選んでしまうと、企業の信用問題にかかわってきます。全面的に解禁するのか、一部分を解禁するのかは企業側にとっての今後を左右するので注意が必要です。

会社の就業規則を改正し直す

副業を解禁しようにも、会社の就業規則が切り替わっていないと従業員は副業に取り組むことができません。「副業禁止」に似た項目が就業規則の中にあるなら、書き換えていく必要があります。

さらには副業に関する項目が何も書かれていない状態なのであれば、新たに副業に関する就業規則を付け加えることも重要です。企業だけでなく副業を行う人にとっては大切なことなので、忘れずに就業規則を改正し直しましょう。

副業をするための手続き方法の決定

副業を行うということは、労働勤務時間が働く人の自由となる部分があります。副業を行っていくのは本人の意思ですが、企業側からしたら企業の秘密情報における漏洩問題が起こる可能性も否めません。

なので副業をする人と企業側とで、どのような仕事をしているのかを共有していく必要性があります。そこで大切なのが副業を許可するという許可制です。副業における許可制は、企業が承諾をして初めて副業をすることができるようになるというシステムです。

ただし法廷労働時間を管理するという問題点も出てくるので、届け出による副業実施も視野に入れておくとよいでしょう。

5.副業解禁をしている企業の事例

では実際に副業を解禁している企業は、どのような会社がいるのでしょうか?ここでは副業解禁している企業を紹介していくとともに、導入したことによって得られた効果なども解説していきます。

これから副業解禁を目指して動き出そうとしている企業はぜひ参考にしてみてください。

サイボウズ

ソフトウェア開発の大手で有名なサイボウズですが、2012年から副業解禁を認めています。さらに副業といっても、複数の仕事を持つ「複業」を推奨している企業として有名な企業で、「100人いれば、100通りの働き方」があると打ちだしています。

副業推進企業の代表格でもあり、働き方は多岐にわたります。サイボウズの社長自身、社員が働きやすい環境づくりに力を注いでおり、副業だけでなくリモートワークの実施やコストをかけての働きやすさを従業員に提供しています。

そのおかげか離職率は4%を切るという、Web業界でも異例な数値をたたき出しています。これから働こうと考えている人だけでなく、世間からも注目を浴びている企業となってきているのです。

引用:サイボウズにおける副業推進事例

ユニ・チャーム

衛生用品メーカーとして有名なユニ・チャームも副業解禁を実施しています。対象としては、入社してから4年以上たっている社員が対象です。副業解禁の目的としては、社員の新たな成長や専門スキルの向上を期待しており、副業をすることで更なる人脈づくりや経験を積んでほしいという思いがこもっています。

ただ副業解禁をしたからと言って、すぐに副業を許すわけではありません。しっかりと申請書を提出して、業務におけるスキルアップや成長となる仕事でないと許可が下りないという厳しい部分もあります。

引用:ユニ・チャーム「副業制度」の導入

また健康管理をしっかりとしていかなくてはいけないので、24時以降に副業をすることを禁じています。一見厳しいように見えますが、これだけの決まりがあるからこそ従業員は副業をしっかりと取り組みつつ、本業へ活かそうと考えるようになるのです。

セガサミーホールディングス

大手ゲームメーカーでも有名なセガサミーホールディングスも、2018年4月より副業解禁を発表しています。ただし一部のグループ企業において実施しており、勤続3年以上を対象に執り行っています。

副業解禁における目的としては、副業によって社員がスキルの向上や、自律性を持って活動してほしいという思いが込められいます。セガサミーホールディングスにて働く従業員が積極的に働くことに対して、積極的になる事で企業価値が上がっていき、新しいイノベーションを生み出すことができると考えたのです。

希望者は申請をすれば副業をすることが可能で、業務時間外か休日に副業を実施することが可能となっています。

引用:~セガサミーグループの更なる成長に向けた取り組み~

リクルートホールディングス

リクルートホールディングスは、今となっては有名企業ですが、昔から副業解禁を実施していることから副業の代名詞と言える企業でしょう。さらに副業と言っても、起業を目指してのキャリアアップを目的とした副業をしている従業員が多く、数々の起業家を生み出してきています。

またリクルートホールディングス自体も、社員の能力開発に余念がありません。本業だけでなく副業における実績も残せれるような教育体制が整っています。副業において何より大切な、自律性を持ち合わせているので、副業を解禁しようとしている企業からも注目を浴びていると言える企業です。

引用:リクルートホールディングス

ソフトバンク

大手携帯会社で有名なソフトバンクですが、2017年11月より副業解禁を実施しています。目的としてはイノベーションの創出が主な目的となっており、新規事業における新しいアイデアや既にある事業に対する活性化に役立っています。

また従業員のスキルアップや自己の成長につなげようと考えており、会社が認める副業を実施していく人が多くいます。ただ情報漏洩や本業への支障、会社への信用問題にかかわる仕事などに関しては許可が下りません。

あくまで企業と副業を実施する人、両方に対して利益となる仕事を実施することが、副業解禁において大切だということが分かります。

引用:ソフトバンクが副業・兼業制度を導入したねらい

6.まとめ

副業解禁は働く人や企業側に大きなメリットとなる部分が多いですが、その反面デメリットとなりうる部分もあります。ただこれから企業の繁栄や従業員のスキルアップ、世間からのイメージアップなどをしていきたいと考えるなら、副業解禁は1つの手段です。

さらに副業解禁を実施していく企業もますます増えていくと予想されます。どれだけ周りに差をつけ注目をされるようにするかが、今後を大きく左右することでしょう。

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