Google for Jobsで採用が変わる!採用担当者が知っておくべき10事項

2019年1月に発表されたGoogle for Jobsの日本上陸の件はもうご存知でしょうか。よく知らないという方はぜひ最後まで読んでください。ここ数年で最も大きい波が太平洋を横断して日本に押し寄せました。それがGoogle for Jobsです。この登場により、日本の採用システムが根本から変わる可能性があります。いち早く正しい情報を得て、迅速に対応するようにしましょう。もう既にGoogle for Jobsは実装されているのです。

Google for Jobsを知る-知識編-

Googleが日本の採用システムを変えるという事実

まず、人事担当者として知らなければいけない事実があります。それは、Google for Jobsが日本に上陸されそのシステムの運用が開始されたということは、今後Googleを意識して採用活動を行うことが日本の採用活動の軸になってくるということです。これは決して大袈裟な話ではなく、間違いなくそうなります。それを「事実」として認めてから、この先を読み進むようにしてください。なぜ、そんなことが言い切れるのかというと、Googleという検索システムが日本において圧倒的な優位性があるからです。検索サイトというと日本ではGoogleとyahoo!の2強といわれてきましたがそんな時代はあっという間に過ぎ去り、2018年にはパソコンからの使用、スマートフォンからの使用の双方においてGoogleは7割を超えました。多くの日本人はGoogleを経由して情報を検索しています。そのGoogleが本格的に日本の採用システムに参入しました。2019年の1月段階ではまだ、Google for Jobsの一部の機能である「Google しごと検索(仕事検索機能)」が導入されただけですが、今後は本腰を入れ様々なツールを展開し始めることでしょう。そうなると、求職者はその便利さや快適さを受け入れ、Googleを経由して求人情報を検索することになります。会社にとって優良な人材を採用することは、今後の会社の動向に大きく変化を与える可能性があります。結局のところ、会社という組織は「人」によってできています。優良な人材を採用できるのはその情報戦略の成果です。その情報戦略の主役に躍り出るシステムがGoogle for Jobsです。

indeedは採用システムを変えたか?

日本の採用システムに流星のごとく突如あらわれたindeedは日本の採用システムを変えました。もちろん人事担当者であればindeedのことは熟知しているかと思いますが、再度おさらいしてみましょう。indeedとGoogle for Jobsを比較することでGoogle の狙いを明確にすることができるからです。indeedが登場する以前は、日本の採用システムは、広告媒体や求人サイトに依頼しその情報を不特定多数の求職者に閲覧してもらうというものでした。「リクナビ」や「エン」、「マイナビ」などの媒体に費用を支払い、求人情報と社風、求める人材などのデータを発信してもらういわば「求人代理店」のような役割をしていました。しかし、indeedはこのシステムを根本から変えてしまう画期的なアイデアを持っていました。それは、「求人情報専門の検索エンジン」になるというものでした。indeedはネット上に生きている全ての求人情報をクローラーに巡回させ、どのサイトの求人でも一括検索ができるようにしました。これにより求職者は、ハローワークの情報を含めた求人情報を単純なキーワードと地域を入力することで情報を得ることができるようになりました。企業側としても、indeedに無料で掲載できるメリットがあり、広告費をあげることでその情報を検索の上位に表示させることの調整ができるようになりました。費用対効果を見ながら費用を決めることができるのです。このシステムは画期的であり、indeedを買収したリクルートが短期間で「1人勝ち」といえる基盤を築いていったのです。しかしそれも、過去形で語られることになるでしょう。

Google for Jobsとindeedの決定的な違いは何か?

Google for Jobsは求職者がGoogleでそれに関連したキーワードを入れたときに表示されます。その情報を詳しく見たい場合にはその求人採用情報掲載ページに飛び、詳細を見て応募していくという流れです。一見するとindeedと同じようなシステムと思うかもしれません。しかし決定的に違う点はindeedが「求人情報専門の検索エンジン」であるのに対し、Googleは「世界的な超巨大検索サイト」であるということです。扱う規模が決定的に違います。求職者が情報を得ようとしたときに、真っ先に検索するのはindeedではなくGoogleであるはずです。つまり、その情報を得るまでの距離が短いのです。

◆Google for Jobsの情報検索

Google→求人掲載ページ

◆indeedの情報検索

Googleなどの検索サイト→indeed→求人情報ページ

求職者がより利用しやすいのはどちらか?という問いに答えるまでもないでしょう。また、求人をかける企業も効果の上がる可能性のあるGoogleに求人費用をかけるようになるでしょう。これまでの仕事の検索の結果ではほとんどの場合にindeedの結果が上位に表示されていましたが、それより上位に表示されるであろうGoogle for Jobsを求職者はクリックすることになるからです。

Google for Jobsの登場で何が変わるか?

前述してきたようにGoogle for Jobsが採用システムを大きく変えることは理解できたと思います。その結果、日本の採用システムはどのように変化するでしょうか。まず、求人者はGoogle for Jobsを経由して求人情報ページにたどり着くことになるでしょう。そのため、求人をかける企業は「Google for Jobsにいかに上位に表示させるか?」ということを考え始めることになります。Indeedとは違い、Google for Jobsは費用をかければ上位に表示させるというシステムは今のところ採用していません。いわゆる「Google for JobsにおけるSEO対策」に乗り出します。しかしながら、このことは中小企業にもチャンスとなり得ます。莫大な資金を持った大企業も、小規模でやっている企業も今のところスタートラインは一緒なのです。そのため、いち早く対策に乗り出した企業がその恩恵を得ることができるのです。現在のところGoogle for Jobsの機能は仕事検索機能しかありません。しかし、今後は様々な機能が追加されることは明白です。例えば近い将来には、求職者と求人企業の自動マッチング機能などが実装されるかもしれません。

海外の転職と日本の転職の違い

Google for Jobsは海外の多くの国で実装されており、日本上陸にはやや時間がかかりました。この理由には、海外の転職と日本の転職の考え方の違いが関係しているように思います。例えばアメリカの社会では個々の能力が重視される傾向が強く、人の動きが活発です。当然転職に関してはネガティブなイメージがありません。良い人材は他の企業からヘッドハンティングされてキャリアアップしていきます。もちろんその転職先では以前の職場よりも好待遇になることが多いのです。それに対し、日本では1950年代ころから「終身雇用」と「年功序列」という能力に全く関係のない「雇用の安定」という視点での採用システム、人事評価システムが根付きました。それから約70年経過してもその制度はなぜか根強く残っています。新卒で入社した会社に一生働き続けることが模範のように考えられているのです。そのため、どうしても転職にはネガティブなイメージがあり、転職回数が多いことは評価に繋がることはありません。つまり、海外での転職事情と日本の転職事情はほぼ真逆の考え方になっているのです。Google for Jobsの導入が日本で遅れているのはこうした事情があったのではないでしょうか。

Google for Jobsを使う-実践編-

Google for Jobsで採用情報を表示させるには

さて、Google for Jobsの日本における優位性とその将来性がわかったのであれば次に人事担当者がやるべきことは採用情報をGoogle for Jobsで表示させることでしょう。何もしないままではGoogle for Jobsで情報を表示させることはできません。Indeedのように直接投稿できるページが準備されていないのです。そのため、今すぐに専用採用ページを作ることが必須となります。会社のホームページ内にそのページを追加しましょう。そして、Google for Jobsのクローラーが巡回してくるように設定をするだけです。設定そのものはそこまで難しいものではなく、ホームページを作る知識が少しあれば対応できるレベルです。もちろん巡回させるのに経費はかかりません。こちらのページを見てみてください。

(参照)

https://developers.google.com/search/docs/data-types/job-posting#country-availability

その設定が終わったら、確認するためにこちらのページを利用しましょう。

(参照)

https://search.google.com/structured-data/testing-tool

「全く意味が分からない!」という場合には、社内のシステム担当に相談してみましょう。問題なく対応いただけるはずです。社内のシステム担当者がいない場合にはWebコンサルタント会社などに相談するのも手かもしれません。

今すぐに専用採用ページを作ることが必須

さて、前述したようにこれからは社内の専用採用ページを作ることが必須です。「リクナビ」や「マイナビ」「エン」などのように求人サイトに取材にきてもらい、採用ページを求人サイトに作ってもらうという方向性は薄れていく可能性があります。そのため、Google for Jobsで直接会社ホームページに飛んでもらう経路を構築する必要があります。ホームページを求職者に見てもらうのは、非常に良いことです。社内を知ってもらうのにホームページを見てもらうのが最もわかりやすいからです。そのため、ホームページの利便性や情報量、デザインなどを再度見直す必要があるかもしれません。自社のホームページが競合他社のものより劣っている点があるのであればリニューアルを提案してもいいかもしれません。会社の「玄関」がホームページになる可能性があるからです。また、その採用情報ページには求職者が求める以上の情報量が必要となります。Google for Jobsに表示させるために採用情報ページが必要ですが、これをホームページ全体の見直す機会にすべきかもしれません。ホームページによって良い人材を雇用できる可能性があります。そしてそれは、会社の規模によらずに実施できることでもあります。

Google for Jobsの上位に表示させるには

最も人事担当者が気になる点は「Google for Jobsの上位に表示させるにはどうしたらいいか?」という点でしょう。indeedは求人広告費用をかければ上位に表示させることができるというわかりやすいルールがありました。これにより、大企業は費用を投資することができるため上位に表示させることができましたが、Google for Jobsにはそのルールはありません。結局のところ、どんなやり方で上位表示させることができるかという明確な指標が無いのです。単純な作業ですが前述したような「Google for Jobs」のルールにしっかり従った構造を作るということと、やってはいけないことをやらないということになります。また、Google for Jobsに表示される求人レビュー得点が高い企業が上位に表示させる可能性があります。口コミの数なども対象になるかもしれません。この客観的な評価数やその数値というのは最近では非常に重要な項目になります。海外の配車会社UberやAmazonなどでもその人や商品のランク付けが消費者からされ、信用度によって価値が定められます。その視点で考えると、求人レビュー得点も関係してくる可能性があります。つまり長期的には、良質なサービスを提供している会社が優良な人材を採用できるという当たり前のことが循環するようになるでしょう。日本の採用方法の透明性がより増すということです。

Google for Jobsを考える-考察編-

これを読んだ翌日には社内会議すべし

ここまで読んでいただいた人事担当者の方はぜひ、今後の採用方法について明日にでも検討会議を設けましょう。①身近なことではGoogle for Jobsに対応したホームページ製作について、②中期的には採用の費用をどのように割り振れば優良な人材を確保できるかということについて、③長期的には社会からの信頼を築くサービスの提供の仕方についてとその意義を社員にどのように意識付けさせるのか。話し合う項目は主にこの3点です。Google for Jobsは日本企業にこのような問題を突き付けたのです。すなわち「社会にとって有益な会社とは一体どのようなものでしょうか?」という問いです。普段忙しく働く人事部こそが真剣に考え、その答えを社員に根付かせることが今後の課題なのです。

GAFAが変えた世界で必要な行動とは

世界4大インフラと呼ばれる「GAFA」という言葉があります。GAFAはその企業の頭文字を取った略称で、「Google」「Apple」「Facebook」「Amazon」のことを指します。これらの企業は検索サイト、デジタル機器、SNS、インターネットショップにおいて巨大なシェアを占めています。どの企業にも共通して当てはまるのは、「世界にとんでもない便利さを提供した」ということが言えるでしょう。また、その成長には利益を度外視した長期的な計画がありました。Googleが次に計画していたのが人材情報の適正化、ということになるのかもしれません。求職者と求人を希望する企業へのより有益な情報の提供、これこそがGoogleが描く次のプロジェクトなのでしょう。もし、これを読んでいるあなたが人事担当者であれば次の行動をしなければなりません。求職者が「OK、Google!僕に最も適切な今週の仕事を紹介して!」という未来はすぐに来ているのです。

まとめ

さて、今回はGoogle for Jobsによってどのように採用方法が変わるのか、採用担当者が知っておくべき項目を10点に分類し、みてきましたがいかがだったでしょうか。最後にまとめてみたいと思います。

<Google for Jobsによって採用が変わる!採用担当者が知っておくべき10事項>

①2019年1月に日本にも実装されたGoogle for Jobsで採用の在り方が変わる

②近年日本の採用を賑わせていたindeedは「求人サイトの一括検索」を可能にした

③Googleはindeedを上回る規模で採用システムを再構築しようとしている

④Google for Jobsの登場で、人事担当者はGoogleの基準に則り情報を提供することになる

⑤日本でGoogle for Jobsの展開が遅れたのは転職に関しての文化の違いの影響があった

⑥今すぐにGoogle for Jobsで採用情報を表示させる必要がある

⑦今すぐに会社のホームページの見直しをする必要がある

⑧Google for Jobsで上位表示されるようにSEO対策に乗り出すことが必要

⑨他の社員を巻き込んで、Google for Jobsの対策と今後について検討すべき

⑩「社会のための会社」という社員教育により人材が集まる会社の構築を実施すべき

前述してきたようにGoogle for Jobsにより、日本の会社に大きな変化が訪れました。会社の規模に関係なく、真っ先に行動すべき事態だといえます。人事担当者は、これをチャンスだと捉えて前向きに取り組んでいきましょう。

1 Comment

まー

グーグルによって採用も変わる!求人票を出すお金がない小さい会社にとっては追い風ですね。
しかし、グーグルは全てを牛耳るつもりなのか・・・

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