低予算でも優秀な人材を採用する!どんな工夫ができるか

はじめに

売り手市場と呼ばれて久しい昨今、優秀な人材を採用するのは企業の人事担当者の責務になっています。一方で採用に関するツールもたくさん世に出回っていることから、これらのツールを活用すれば人材を集めることは無理ではありません。しかしながら、 採用にかけられる予算は限られており、これらのツールを無尽蔵に使うと費用はうなぎ登りにかさんでしまいます。せっかく多額の費用をかけた新人でも退職してしまうこともあります。お金を掛けなくても良い人材を採用できる方法について知っておきましょう。

1.無料で採用できるところを活用する

人事担当者の中には、無料で採用できるツールとして挙げられるのがハローワークです。ハローワーク求人は認知度が高く、求人を出しておけば応募する人も少なくないのです。しかしながら、ハローワークには多くの会社が利用することや、ハローワークの就職差別をしないという方針から、年齢を制限して採用することができないなどのデメリットがあります。たくさん見やすいところからたくさん応募が来るので、採用に労力がかかる割には求める人物像にダイレクトにつながるのは難しいかもしれません。

ハローワーク以外にも、無料で採用できるツールがあります。たとえば、民間のスクールであるITスクールやオフィススクールにも求人募集の広告を出せることもあります。また能力開発大学校や高等技術専門学校に直接アプローチすることで費用をかけず人材を採用することができます。特に専門学校は就業支援も行っており就職率を気にしているところも多いことから、気になるところがある場合にはアプローチするとよいでしょう。

2.大学の就職課とコンタクトをとる

大学の就職課の中にはかなり学生と近い距離で就職支援をしているところもあります。そういった大学の就職課の中には、もちろん新卒の採用もそうですが第二新卒として就職して比較的早期に離職した学生が相談に来る場合もあります。大学の就職課というとどうしても新卒採用のイメージがあり、その時に訪れる企業は多いでしょう。しかしながら、関係性を築くには通念にわたってコンタクトをとったほうがよいこともあります。

しかしながら注意しなければならないのは、大学によって学生や卒業生との距離感は違いますし、就職活動をどの程度サポートしてくれるかも違います。事前に大学のキャリアセンターのサイトなどでどの程度就職をサポートしているか、学内説明会ができるかどうかを知っておくとよいでしょう。就職シーズン真っただ中は忙しいので、夏場など比較的忙しくない時に訪問して起き、良い人材を紹介してもらえるような関係性を築くとよいです。

3.Twitterを活用する

これからの採用に活用したいのは、TwitterをはじめとするSNSです。直接採用活動をして人材を募集するツールというよりも、むしろ会社の情報を応募者に正しく伝えたり、就職活動中の学生などに会社説明会の開催と言った情報を提供したりします。Twitterを使っている人は学生や若い人に多いので特に若い人を採用したいときに向いています。場合によっては口コミでファンを増やすこともできます。

Twitterは、登録している人であればIDを交換しなくてもダイレクトメッセージを送ることができます。たとえば、新卒採用の中で気になる人がいたらダイレクトメッセージを送って双方向コミュニケーションを取ることもできます。しかしながら、応募者にフォローをするよう強要したり、あまりにも応募者の投稿を監視するのはよくありません。TwitterをはじめとするSNSは、あくまで通用の採用ツールの補助的なものと理解しておきましょう。

4.Facebookを活用する

依然としてFacebookに登録している人も多く、特に就職活動や転職活動をしている人はFacebookで企業情報を収集することもできます。プレスリリースとして配信するほどでもない自社の情報、自社の社風や文化を定期的に発信することができるからです。特に求職者にとっては、自社ホームページよりアクセスしやすく、社風を理解するのに役立ちます。

Facebookはここ近年急激に採用市場に利用されており、新卒の学生などを採用するため採用専門のアカウントがある会社も少なくありません。しかしながらTwitterやラインに比べて、Facebookは40代の利用者が最も多く、次いで30代となっています。そのため、幹部候補生や主任クラスなど、どちらかというと幹部候補生やスキルのある中途採用者に向けた情報発信として使います。新卒の学生に注目してほしいのであれば、やはり専門のアカウントを作って会社説明会などで登録してもらうのがよいでしょう。

5.SNSの広告を活用する

一般的な広告に比べて、安価な値段設定でも広告を出すことができるのもSNSの特徴です。どちらかというとみる人が限られるものですから、「25歳○○学部出身」などといったように細かな設定が可能です。これは、広告をただ見るだけでなく、クリックしてコミュニケーションを取ることができるという利点もあります。

特に転職市場においては、皆が皆転職をしているわけではなく、どこかよいところがあったら新しい職場を探してもいいな、程度に思っている人もいます。そういった人がふとスマホの画面上に出てくる広告に興味を持ち、自社へとつながってくれるという働きもあります。詳細なターゲッティングをしたいだけでなく、今就職活動中以外の人も見るかもしれませんので、良い人材を自社で採用できる確率が上がります。それ以上に、SNSへの広告出稿は単価がわかりやすく予算が立てやすいというメリットもあります。未経験の人事担当者でも取り組みやすい方法です。

6.応募の母集団を充実させる

SNSを活用することなどでピンポイントに必要な人材に広告を打つこともできるのが昨今の採用市場です。しかしながら、あまりにも応募条件を厳しくしてしまうと、採用試験ができるだけの人数が集まらないというリスクがあります。SNSを採用に使い始めるのであれば、最初はなるべく応募のハードルを低くしより多くの人に見てもらうようにしましょう。

特に、SNSの大きなメリットとしては口コミで広がることが挙げられます。特に応募者がいろいろな企業の中から選んで応募する新卒採用の現場にとっては、良い口コミを流してくれることで当初は視野になかった人から応募を受けることもできます。書類審査などの労力が増すというデメリットもありますが、まずは就職戦線の序盤では多くの人に知ってもらうことを重視し、その後少しずつターゲットを絞って出す、といったように広告を出すという一つの動作においても、工夫しながら行うことがよいでしょう。

7.自社のホームページを充実させる

採用市場において案外なおざりになりがちなのが、自社の採用応募ホームページです。情報が逐次更新され、採用に対する意欲が感じられる会社のホームページでなければ信頼を落とすという諸刃の剣になりがちなアイテムです。そういった自社のホームページは思ったより多くの人にチェックされているものです。

新卒採用はもちろんのこと、中途採用を考えるのであれば、そのホームページからダイレクトに会社の人事サイドにアタックできるようにすると、思わぬ応募につながるものです。自社のホームページを見てから応募、というかたちであれば、追加の費用もかからず、低コストでの採用が可能です。定期的にメンテナンスをして、名刺には目立つように載せるなど、会社に興味のある人がアクセスしやすい状況にすることがよいでしょう。

8.従業員からの紹介を利用する

こと売り手市場においては、人材の確保が大変ですが、中小企業で主に取られている採用の方法として、従業員から紹介してもらうということが挙げられます。従業員からの紹介であれば、ある程度会社のアピールポイントや社風も、また従業員から見た率直な欠点も伝わっているので、入社してからミスマッチになる確率も通常応募よりは低くなるでしょう。会社の本質的な部分が応募前に伝わるといったメリットがあります。

ただ、人材を紹介してくれといっただけでは、紹介する従業員に何のメリットもないので良い人材が応募してくる確率は極めて低くなるでしょう。しかしながら、その紹介した人が採用試験に受かって入社した段階で紹介者にもインセンティブを支給するというかたちでなら、良い人材の確保ができるかもしれません。確かに、従業員にインセンティブを与えることでコストは増加しますが、転職サイトの人材サイトの紹介にかかる費用と比べると、より少額で済むでしょう。

9.社内人材を活用する

一般社員と比べてパート従業員や契約社員を採用するのは比較的簡単です。ハローワークなどを利用すればコストもかかりませんし、契約社員やパート従業員なら自社と合わなかったときに契約を更新しなかったりと言ったことも可能です。ただ、最近ではこういった非正規労働をする人が必ずしも正社員で就職できないだけの能力がないのか、というとそうでもありません。

契約社員やパート従業員になっているのは家庭の事情や就職活動の失敗など不可抗力であるケースもあり、実際に働いてみたら社員と同じくらいかそれよりも優秀といったことは珍しいことではありません。人手不足に直面したときに、まず自社に正社員として働けそうな非正規雇用者がいないか見直してみることもよいでしょう。もちろん、社外からの応募と同じように試験をすれば、レベルの低い人が社員として雇用されることもありません。また、こういった正社員登用が制度として確立されているのであれば、そこで働く従業員のモチベーションにも大いに良い影響を与えるでしょう。

10.転職フェアに参加する

入社して早々に辞めてしまった人や事情があって転職先を探している人が気軽に参加できるのが転職フェアです。転職フェアの参加料はさほど高いものではないので、今まで参加したことがない企業にも取り入れられやすい採用手段です。転職フェアを利用する転職者の人数は必ずしも多くはないものの、本当に転職先を探している人ばかりなので、うまくマッチングする確率もほかのフェアより高くなります。

特に転職フェアに参加している企業の満足度は高く、大企業であっても中小企業であっても一定の満足感が得られているというデータもあるくらいです。求める人物像や業務を行っていくうえでのスキルを直接伝えることができますし、参加者の多い新卒採用フェアと比べて、一人一人と話し合うことができるからです。そこで正式応募や面接へ向けてのコミュニケーションを取ることもでき、費用対効果の高い施策の一つだといえます。

11. Webを採用選考に取り入れる

採用にかかるコストと言えば応募者を集めるためのコストがかなり重視されています。しかしながら、会社説明会から筆記試験、採用選考面接に至るまでそれぞれ目に見えないかたちでの労働力がかかっています。そのような採用にかかるコストを削減するには、採用試験にあたりWebを活用するのもよいでしょう。

会社説明会を、Webを使ったWeb説明会にすれば、遠隔地から行かなくても済みますし、自分の好きな時間に見ることができます。採用面接であれば、第一次選考はWeb面接、というように、人が集まりやすい最初の面接選考をWebにすることで、自社に合わない人材を早めにコストをかけることなく不採用とすることができます。ただ、これには普段の業務からウェブを活用していないと困難ですので、少しずつ取り入れていくようにするとよいでしょう。

技術系の会社であれば、Webの基本技術が身についているかどうか検定するために技術的な部分をWeb選考にしている場合もあります。そうすることで自社のスキルにあった学生を採用することもできるからです。使い方によっては、Webは採用にかかる費用を低減することができるものとなるでしょう。

12.OBのいる大学にアプローチする

これだけインターネットが普及していろいろな情報を収集できるようになったとしても、やはり新卒もしくは第二新卒の学生にとっては企業の情報を得られるのが困難で、どういった基準で企業を選べばよいかわからないといった悩みがあります。また、比較的首都圏や大都市に近い大学、生徒数の多い大学には情報が入りやすいけれど、小さな大学や地方の大学には情報が入りにくいという現状があります。

そういったときに、あまり情報がない地方大学に求人を出したり学内説明会に参加したりすることで、他社に先んじて良い人材を採用することができます。地方の国公立大学には勤勉で評価も高いが、情報収集の面から就職活動に乗り遅れている学生が少なくないのです。ですが、そういった大学を全国各地の中から探し出すのは非常に大変ですし、就職課とのパイプもなかなかつなげられないでしょう。そういった場合は、ОBのいる大学を中心にアプローチをしてみるのが良いです。

新卒採用で入社してきた社員の出身大学については人事採用部門でも把握してしっかりとその後の関係を築いているかもしれませんが、時に中途採用の社員の出身大学については何もしていない場合が少なくありません。いずれにせよ、社員の出身大学であることには変わりはないので、まず中途採用の社員の出身大学を洗い出すことから始めてみましょう。

13.内定者フォローを徹底してミスマッチを防ぐ

売り手市場となって久しい昨今、内定辞退は当たり前のように行われています。実は、内定辞退は入社の二週間前までは法律で許されているので、入社間際に辞退されたからといって学生を責めることもできません。内定を出してからも、内定者フォローに力を入れることで内定辞退を防ぎ、追加採用にかかる必要を削減することができるのです。

具体的な内定者フォローとしては、社員とのランチや懇談会、職場見学、内定者同士のコミュニケーションの場を提供するといったことが挙げられます。とはいえ、忙しい学生だとそういった活動を敬遠することがあるかもしれません。このような場合は内定者専用コミュニティなどSNSでつながっておくと安心です。ただ、SNSを使う場合は個人情報漏洩などのリスクがありますので、使い方には十分注意する必要があるでしょう。

14.通年採用をして、良い人材を採用する

新卒採用をして良い人材を見つけることも大切ですが、人によってはさまざまな事情で新卒のときに就職活動ができなかった学生もいます。たとえば、公務員試験や教員採用試験に挑戦してダメだったり、留学から帰ってきたりということです。大学院に進学予定だったものの家庭の事情で就職というケースもあります。こういった人材を採用するのに通年採用は有効です。しかしながら、本当に自社に入りたいのか、就職して長く自社に勤めたいのかをしっかりと見極めなければ早期離職になる場合もありますので注意が必要です。

おわりに

年々変化する採用市場ではありますが、採用に便利なツールがたくさんある分、工夫をしないと採用にかかる費用はどんどん膨らんでいきます。しかしながら、TwitterやFacebookなどのSNSを有効に利用したり、大学とのパイプや内定辞退を防ぐなどといった工夫によって採用コストを抑えることはできます。

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