中途採用の課題 ミスマッチと対策

 

はじめに

新卒採用者の離職率も高く、依然として良い新人の確保が大変な状況が続いている昨今、景気の変動とともに会社もフレキシブルに進化していくのであれば中途採用の人材を活用することが必要不可欠になっています。しかしながら苦労してもすぐに退職してしまったり、会社となじめなくて仕事上の成果を発揮しない場合もあります。こういった中途採用のミスマッチにはどのようなものがあるのか、また対策はどうすれば良いか考えておきましょう。

1.中途採用のミスマッチ①社風に合わない

社風に合わずに退職する人は新卒採用でも多く、その多くが人間関係に問題を抱えています。特に早期退職した人の多くは人間関係の問題や社風にマッチしないので退職するので、中途採用で入社したところともし自分がマッチしないと思うのであれば、辛抱することなく比較的早期に中途入社先も退職してしまいます。

社風と一口にいっても、会社の雰囲気や仕事の進め方など多岐にわたります。これらが自分の理想とあまりにも違っている場合入社してもなじめなかったり、違和感を抱えながら仕事をしてしまうことになります。新卒社員と違ってインターンシップがあるわけでもないので、どうしても面接の時に仕事の雰囲気を感じるのは難しくなります。特に人事担当が各部署の雰囲気を知らないのでミスマッチな人材を採用してしまうというケースさえあります。言葉に出して定義することが難しい社風を伝えたり汲み取ったりすることの重要性を感じることが必要です。

2.中途採用のミスマッチ②労働条件が合わない

労働時間が言われていたのと違って慣習的な残業が何時間もある、もしくはフレックスタイム制を採用しているのに始業時には皆揃っている、もっとひどいケースは始業より30分前に来て掃除をしなければならないなどといったケースは、ミスマッチにつながります。そこで注意しなければならないのは皆が皆、残業が嫌だから転職するわけではありません。そういった慣例や労働時間のことを事前に言わずに入社面接を行うと、実際の労働時間と乖離が生じてしまいます。労働時間を多くもしくは少なく提示されたことが、うそをつかれたという不信感にもつながってしまいます。少々の時間外労働が我慢できたとしても、信用に値する問題なので一度信頼をなくすと会社の問題点ばかり見えてしまい、結果的に早期離職につながってしまうのです。ほんの5分、とか慣例などと言わずに誠実に対応することが必要になります。

労働時間だけでなく、労働条件、すなわち給与面のミスマッチなども考えられます。予定されたよりも給料が低いなどは論外ですが、社員旅行積立金や互助会のような給料から惹かれるお金があり、それがそれなりの金額である場合はやはり事前に納得してもらうことが必要になります。

3.中途採用のミスマッチ③ 部署の求める人材や能力とのミスマッチ

実は、会社にも面接者にも原因があるのですが、求める人物像や能力、仕事ぶりが面接の時に見せていたのとマッチしないといったミスマッチもあります。特に中途採用面接においては数回の面接、短時間で見極めなければならないため、人事としても今までの職務経歴書などを見て判断するといった書類での判断の割合が多くなりミスマッチを生みやすくなります。また、面接者においても限られた面接時間で自分を良く見せようとして、自分がやってきたことや能力を誇張して言ってしまう場合もあります。そうして、入社したら思った業務と違うところで経験を積んでいたり、思ったよりできない人だというミスマッチもあります。

一方で、仕事の仕方についてもミスマッチが生じることもあります。一を聞いて十を知るタイプであろうと予想したのに実際はかなりの説明をして理解してから物事を進める慎重派タイプであったり、てきぱきした話し方をするのに仕事ぶりは丁寧だがマイペースといったこともあります。うまくマッチすればよいのですが、ミスマッチになってしまうことも少なくありません。とはいえ、何度も面接をしていると優秀な中途採用者が他社にとられることもあり、そういった判断のむつかしさが置揉められています。

4.中途採用者のミスマッチ④ 職務経歴のミスマッチ

若手の中途採用者ではさほど深刻な問題ではありませんが、何か突発的な人事異動や人材不足によりすぐに実務に入らなければならないことがあります。そういったときの中途採用としては、社会保険業務なら社会保険業務と言ったように具体的にできる仕事を挙げて中途採用者を業務に支障をきたさないように募集するのが通例となっています。こういった中途採用においては、職務経歴が非常に重要な要素となります。

しかしながら業務への職務経歴があったとしても仕事のやり方が大幅に違っていた李、実は手作業や頭で考えて行うことが必要な業務の一部分を前の会社では外注したり機械化していたりすると、いざ実務をするときにできない、ということが発生します。そうすると中途採用者としては自信を失ってしまい、仕事を続けていこうとする気がなくなってしまうのです。社会情勢がめまぐるしく変化する会社環境において、職務経歴書だけでその仕事をできるかどうかを判断するのは非常に危険なことです。一定の規模の会社であれば、業務を外注したりするのは当たり前のことです。これが自分でできるのは担当なら当然のことかもしれませんが、入社してからずっと外注している業務だと自分がやったことないというのは珍しくないのです。また、使っているソフトやプログラムが違うからできない業務と言うのも当然発生してきます。そういったところでミスマッチを起こしてしまいます。

5.中途採用者のミスマッチ⑤ 人間関係のトラブルを引き起こす

今や若手離職者の大きな原因となっているのが人間関係のトラブルです。会社の条件も悪くないのに早期に退職している、早期退職理由がわからないといったのは人間関係のトラブルかもしれません。ただ、この場合のミスマッチを生み出すのは、受け入れる会社側にトラブルメーカーになるような人材がいる可能性があり、そういったことを人事が把握しておかないとせっかく中途採用者を採用してもまた早期に辞めていくことにつながります。

人によっては、会社への帰属意識が強く中途採用者を認めない、仕事をやらせないといった嫌がらせに近いことを無意識にしてしまう上司もいないわけではありません。部署として中途採用者を受け入れる雰囲気になってない場合もあります。そのため、中途採用者を募集するのであれば、配属予定部署の人間関係が円滑か、新人を迎え入れることに賛成しているのかをあらかじめしっかりと把握しておかなければならないでしょう。早期離職者がある部署だけ相次ぐ、といった場合は、トラブルメーカーのような人がいる可能性もあります。

6.中途採用者のミスマッチ⑥ キャリアの価値観のミスマッチ

新卒で就職活動するならば、キャリアについてはまだ考えていない人も多いかもしれませんし、キャリア教育の概念的なものだけを考えていることもあります。しかしながら、転職者はキャリアについてかなり具体的に思い描いているケースが多いのです。今のキャリアが実現できないから転職する、というケースもあるからです。たとえば、働きやすさややりたいことを考えて就職したが、結婚を考えるようになるとやはり給料が多いほうがよい、とか、専門的なスキルを磨くことを重視していたが幅広く経験したい、もしくはその逆もあるでしょう。結婚したり子どもができたりして子育てや家事を考えてプライベートを尊重できる会社に転職したいということもあります。最近では共働きが当たり前なので男性でもこのようなケースは珍しくないのです。

しかしながら面接の時の打ち合わせが不十分だったり、募集要項と違う働き方を配属部署がしているような場合は転職後にミスマッチを引き起こしてしまいます。面接者の方でも最初はそういった条件に見合う会社を考えていても転職活動をして行くうちに早く決まったほうがよいと思ってそういった条件が知らず知らずのうちに軽視されてしまうこともあります。そのためいざ入社してしまうと早い段階でそのミスマッチに気づくことになるのです。

7. ミスマッチへの対策① 社風を可視化する

人間関係や組織文化、広い意味でいうところの社風を入社前に理解するのは大変困難です。しかしながら、そういったミスマッチは転職者がなかなか定着しない、すぐに辞めてしまう、せっかく就職しても力を発揮しないなどといったことにつながってきます。そのため、社風についてもしっかりと理解してもらうことが必要になります。特に社風は文字にすることが難しいので仕事の進め方や職場の雰囲気、アフターファイブに至るまでしっかりと伝えるようにします。

特に中途採用者においては面接試験が判断の中心になるので、面接シートにあらかじめ社風について伝えるようなチェックリストを使ったり、仕事の進め方を聞いたりすることによって、自社と進め方がマッチしている人物かどうかを判断することも一つの方法です。どういったタイプの人と仕事をしてきたことが多いのかを聞く、ということも事前に社風を理解してもらう上で必要になります。特に中途採用者は研修は少なく初日から部署に配属される場合も少なくないので、部署の雰囲気をまず人事担当が理解することが必要になるでしょう。

8.ミスマッチへの対策② 労働条件は隠さずに伝える

給料は転職者にとって大事な情報です。新卒の頃には総支給額くらいしか気にしなかったかもしれませんが、どのような手当てがあるのか、福利厚生はどうなっているのかも含めてしっかりと文書化する必要があります。組合費や互助会など引かれる金額がある場合は、代償に関わらず包み隠さず伝えなければなりません。

また、労働条件はその人の働き方にも関わってくることなので、そちらも伝えなければならないでしょう。そのためには、その部署の残業の様子やどういった仕事をどのような時間でやるのかなどについても言及する必要があります。一般的に残業がなければよいだろうと考えるのではなく、残業一つとっても働き方にはその人の価値観が問われることがあるので、これくらいと思わず伝えるべきことはしっかりと伝えたほうがよいです。

9.ミスマッチへの対策③部署や求める能力はしっかりと相互認識

新卒の場合は求める人物像が曖昧であったとしても、ある程度履歴書を見たら経歴がわかるのと、面接の場合も同じくらいの学生との比較になるのでわかりやすい新卒採用に対し、中途入社の面接ではふんわりとしたイメージだとなかなか求める人材を採用することができません。経歴だけを見て良い人材を採用したとしても、実際に現場で働いてみたらそれほど活躍しなかったということもあります。そういったミスマッチは早期離職につながりやすいので、面接の部分で求める人物像と能力や職務経歴はマッチするのか、マッチしないとすれば研修でどのように補っていくのかを計画しておかなければなりません。

部署の雰囲気や仕事に仕方にマッチするような社員を採用するのであれば、その部署の責任者に面接に出てもらうのも一つの方法です。実際に配属数旅程の現場社員の判断も尊重しながら採用するとミスマッチを防げます。特に「仕事のやり方が一緒である」社員であれば、即戦力になる可能性は高いです。

10.ミスマッチへの対策④ 職務経歴書はしっかりチェックする

中途採用は、職務経歴書でチェックしてから採用面接をするのが普通です。しかしながら何をしていたかという職務以上に「どのようにしていたか」「どのような機関でどのくらい仕事をしていたか」チェックするようにしましょう。また、職務経歴書を丁寧に書いていればある程度丁寧に仕事をすると言う評価になりますし、職務経歴書に書かれた経歴や資格が求める部署とかけ離れている場合はチェックが必要です。もちろん、未経験の職種にチャレンジしたかったり、資格は入社と関係なく取ったものかもしれません。それだけで不合格にするのはもったいないです。

評価や実績の信憑性についても確認する必要があります。輝かしい実績が並んでいた場合、もしかしたら自分を良く見せようとして書いている側面もあるかもしれませんし、小さな会社なので量は多くなくても基幹的な仕事をやってきたかもしれないからです。問題は、実績や評価ではなく、そのような実績や評価を上げるまでに至ったその人の行動および考え方です。そういったところが自社にマッチしていたら、ミスマッチを引き起こす可能性は低くなります。特に会社規模がちがうところへ転職する場合は、自社のやり方を受け入れられるだけの順応性があるかについても、しっかり面接で確認するようにしましょう。

11.ミスマッチへの対策⑤ 職場環境に問題がないかチェック

せっかく就職したのにミスマッチが起こる要因としては人間関係のトラブルもあげられます。若手の転職者の多くが人間関係に問題を抱えており、それゆえに転職先ではトラブルになりたくないと思っている人も少なからずいます。しかしながら人事採用担当者の多くは応募者が退社した理由や応募者のトラブルにはそれなりに興味関心があるものの、自社の人間関係のトラブルに関しては関知しないことが多いです。

そもそも中途採用の多くはローテーションや退色に伴う人材補充的なかたちで採用するのが一般的です。しかしながらそういった退職者が多い部署のその要因について考える人事担当者は多くはないのです。具体的に言えば部署に新人を受け入れない雰囲気やトラブルメーカーとなっている人がいるので、新人を補充しても辞めていくということもあります。部署で抱えている仕事自体が転職者に向かないことも当然あります。転職者を応募する前に、配属予定部署に問題はないのか、新人を受け入れる雰囲気はあるか、退職に追い込むようなトラブルメーカーはいないか、社内事情を細やかに知らなくてもできる業務なのかをあらかじめ考えておきます。こういった丁寧な対応がそもそものミスマッチを防ぐことにつながるのです。

12.ミスマッチへの対策 ⑥ キャリアプランや価値観はしっかり共有する

中途採用面接においては、応募者本人のキャリアプランや仕事に関する価値観にはしっかりと耳を傾けましょう。今後のキャリアプランをどう考えているかはもちろん、何のために仕事をするのか、今回の転職をどう考えているのかなど、キャリアに関する質問をするようにします。その際に応募者の価値観を甘いと思ったり否定したいと思っても口をはさんではいけません。

本音で答えると落とされてしまう、と思うとどうしても自分の本心とは違う会社受けを意識した回答になります。そのようにして入社したとしても、入社したら自分の価値観と現実のギャップに気づいて辞めたくなるからです。

おわりに

中途採用市場は活発化しており、入社してから比較的早期に退職する人も珍しくありません。中途採用者は社内で専門的な業務をしたり、別の会社の良いところを取り入れたりできるなど組織に良い方向に働きます。しかしながらミスマッチを引き起こしてしまうと思うような活躍ができなかったり早期に離職してしまったりなどリスクもあります。中途採用者を活用するときは起こりうるリスクにしっかりと対策することが必要です。

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