面接で何を聞く?質問の選定方法とそのコツ

 

はじめに

採用試験において面接は最もウエイトの高い試験方法の一つです。しかしながら面接では人間性を見るからといって出たところ勝負みたいな無計画な面接試験をしていると、結局どういった人かわからないといったこともあります。加えて、面接試験は時間が限られているので、限られた時間でその人を見極めなければなりません。そのため、面接試験をするのであれば、きちんとあらかじめ質問内容を選定することが必要です。どのような質問を選べばよいのか、そのコツも知っておきましょう。

1.面接の目的を考えておく

面接の目的は言うまでもなく採用するかどうか人を見極めることです。しかし、面接は人に優劣をつけることではありません。面接の大きな目的は、応募者が自分の会社の社風にあうかどうかもっと大きな意味で見極めなければなりません。どんなに能力があっても、自社と仕事のスタイルが合わなければ、ミスマッチを引き起こすでしょう。しっかりと考え抜いた質問をすることで、自社に入社して今後活躍するかというところまで考えなければなりません。

また、採用面接は面接者を見極めるだけではなく自社の魅力をアピールする機会です。多くの応募者は、自社と似たような会社をいくつか受けて、そこから会社を選定します。自社が内定を出すような会社は、ほかの会社にも評価される確率が高いです。そのため、どうしても競合することになるでしょう。そのため、自社の魅力を面接時にさりげなくアピールし、そしていくつかの会社の中から選んでもらえるように演出するのも、面接試験のまた一つの目的です。

それだけでなく、面接のステージが進めば進むほど、実際に働くことの具体的な指標を示すことも一つの目的になります。働く予定の部署と内容、それ以上にその後のキャリアプランも必要です。特に社会に出て働くことを経験していない若手、就活生においては、働くことへの不安を感じている人も少なくありません。会社の将来性は大丈夫か、この会社で自分のキャリアプランが実現できるのか、将来的に安定している会社か、ということです。

そのため、面接試験においては会社の将来性をアピールするという目標もあります。応募者の人柄をみるのももちろんですが、面接者が自分の人柄に好印象を持ってもらうことや、面接する面接官が会社を愛し、会社の将来性を考えていることがわかれば、会社で働くことに多少の不安がある就活生も安心するでしょう。面接試験の目標は応募者の選別にある、という単純な支店から脱却することで、自社にマッチする人材を他社にとられることなく採用することができるのです。

2.面接試験がなぜ難しいか

面接試験が難しい理由は2つあります。1つは、応募者がなかなか本音を見せないことです。最近では面接に対するマニュアル本が溢れており、面接の練習もします。応募者が、「自分が答えたい」という意見よりも「こう答えると面接者は自分を評価してくれるのではないか」という視点で答えてしまうことがあります。そうすると、面接者が就活生の本音を引き出すことがますます困難になります。いろいろな会社を受けていると、何が本音で何が言いたいのか就活生自身がわからないこともあります。

もう一つの理由は、人には必ず先入観があることです。性別や年齢、学歴といったわかりやすいスペックから、その人を判断してしまいがちです。書類選考ではないのですから、そういったわかりやすい肩書で人を判断すると、面接試験における公平な視点が欠けてしまうことになります。たとえば集団面接であれば、就活生も応募者によって対応が違う、といった悪評を生むことになります。

面接では、公平性が大変重要になってきます。えこひいきと少しでも思われてしまうと会社の人事の信頼性がなくなってきます。評価についても同様であり、面接評価シートを用意するなどして、公平に判断するようにしましょう。それに質問を載せておくようにすると、なおのこと面接試験がやりやすくなります。

3.まずは書面での情報を確認する

面接官は、面接者が本音で話しやすいように、雰囲気作りをしなければなりません。リラックスしたり雑談をするという方法もあるのですが、面接は限られた時間です。まずは履歴書に書かれている内容を自身の口から話してもらうのがよいかもしれません。

この時に、書面で書いていることとまず同じように聞くのは、「書面を読んでいないのか」と思われるかもしれません。そのため、志望動機や自己PRなどを「書かれていますが、改めて説明してください」などといったようにまずはそこから始めます。そうすることで自身の口から改めて語ることができるでしょう。

これら志望動機、自己PR、学生時代頑張ったことは面接の3大質問と呼ばれています。全部質問する必要はないかもしれませんが、志望動機などしっかりと準備しているという姿勢が読み取れれば、それだけで入社意欲をある程度測ることができるでしょう。

4.自己評価を促す質問をする

社会に出て自分が力を発揮するには、まず自分自身が自分のことを好きでなければなりません。あまりにも自己肯定感が低い人は、職場の雰囲気を悪くしたり、ストレス耐性がないからです。それと同時に、自分が客観的に見られてどういった人間であるかを把握しておく質問にもなります。

具体的には、「長所や短所をその根拠とともに教えてください」や「あなたの最大の強みは何ですか」といったような質問です。「大学生活の中で、自分がどのように成長したのか、具体的な経験ともに教えてください」といった質問でもよいですし、「自分が一番好きなところはどういったところですか」という質問でもよいでしょう。

実際に自分のことを客観的に見て、それを説明するだけでの根拠があればよりありのままの自分を言うことができます。「周りの人から見てあなたはどのような人ですか」といった質問だと、客観的に自分を見たうえで質問できるので、とかくアピールになりがちな採用面接の現場においてより本物の自分自身を示すことができるようになるのです。

5.ストレス耐性を見るような質問をする

とかく若い世代になればなるほど、忍耐が求められた経験が少なく、早期離職につながりやすいです。仕事というのは何かしらストレスを感じるのが当たり前で、それを乗り越えていかないといけません。ストレス耐性がないと、少しのことでも挫折を感じたり注意されただけでもパワハラだと思われたりして職場環境を乱すことになりかねません。最低限のストレス耐性は面接で見なければならないでしょう。

そのための質問としては、「挫折を感じたことはあるか、どう生かしていけばよいか」という質問は、ストレス耐性を見ることができます。ストレートに、ストレスを感じるときはどのようなときか、という質問をするのもよいでしょう。また、息抜き方法を持っているかどうかということについても良い質問です。余暇はどのように過ごすか、ストレス解消になる趣味はあるのか、といったことでもよいでしょう。

今までに苦労したことや思い通りに行かない時にはどうするか、といった質問をしてみるのもよいです。ストレス耐性を見る質問として一般的な手法としては圧迫面接が挙げられます。しかしながら、人格否定をしたり大声で圧迫する、面接者を泣かせるかのようにするような圧迫面接は、面接者に不快な思いをさせるだけでなくインターネットで拡散されて自社の評価が下がるといった弊害が生まれてしまいます。圧迫面接ではなくあくまでも面接の時間の中で、業務に必要なストレス耐性について質問するようにしましょう。

6.対人能力やコミュニケーションスキルをみる質問

仕事をするにあたって外せないのが対人能力、コミュニケーションスキルです。基本的なコミュニケーションスキルは、面接全体の話を聞く姿勢や自分にとって用意していない難しい質問が出たときの態度でもわかります。そのため、面接全体を評価するようにするのがまずは大切です。

チームでどのような働きをするのか、というのも対人能力を見るうえでは必要な質問になります。具体的には「チームで何かを成し遂げたことはありますか、またその時の自分のはたらきについて述べてください」といった質問がよいでしょう。同年代だけでなく異なる年齢層の人たちとのコミュニケーションスキルも必要になります。それにあたっては「アルバイト先での上司とのかかわりはどのようなものでしたか」という質問でもよいでしょう。

これからの職場環境に適応する意志があるのか、ということも質問するとよいです。たとえば、「これからどのように職場に溶け込んでいこうと思いますか」や「上司と対立したとき、どのように対応しますか」といった質問でもよいでしょう。チームでの働きを見ることで、自社にフィットする人材かどうかを測ることができるでしょう。

7.問題解決能力をみる質問をする

難しい業務課題についてどのように解決していくかといった問題解決能力についても、持っておいたほうがよいです。入社してからの仕事のなかには、自分で臨機応変に対応しなければならないものもあるでしょう。そういったときに、問題を抱えてストレスを感じる人材よりも、何とかして解決しようと思う人材のほうを採用したくなります。

たとえば、「今まで大変だったことはありますか、どのように乗り越えてきましたか」といった質問であれば、実務経験のない就活生にも答えやすいです。履歴書に書かれてあることから応用する質問もできます。「周りの人が対立したときに、自分はどのように対処するかを具体例を入れて教えてください」といった質問でも良いです。

もっと具体的に聞きたければ、入社してから多くの若い新入社員が陥るであろう問題を提示して、具体的なケーススタディとして答えさせるというやり方もあるでしょう。そういった質問を通して仕事に対する姿勢も見ることができるのです。また、現在採用した新入社員とも対比できるでしょう。

8.その人の信念や価値観を問う質問をする

いくら優れた就活生であっても、あまりにも考え方や仕事の進め方などが自社の方針とマッチしていなかった場合、職場に溶け込むのは難しくなります。そのため、その人の価値観やコアな部分を知る質問は、面接試験において佳境に入った時にする重要な質問になるでしょう。

わかりやすい質問としては、座右の銘やその理由、とか尊敬する人は誰か、といった質問があります。学生時代に心に残っている先生の教え、好きな本とその影響といった質問でもいいですし、ニュースに関する関心や解釈を聞くことで、その人の考え方がわかります。特にニュースや新聞に関する質問は、基本的に社会への関心があるかどうかの指標にもなるわけですから、可能であれば面接に入れておきたい質問の一つです。

9.入社する見込みがあるかを問う

多くの人が併願して企業を受ける就職採用試験において、入社志望度はとても大事な指標になります。もちろん、入社の見込み以前に一定のレベルに到達する学生のみを入社されるという方針は大事ですが、相手が入社してくれるかどうかを考えずに、高いハードルを置きすぎてしまうと、いつまでも採用レベルに達する学生人数が採用できず、ズルズルと採用活動を続けざるを得なくなります。

そのためには、「就職活動において企業を選ぶ基準とどうして当社を志望したか」という質問が有効になります。何を重要視しているか考えることで、自社を受けに来ている理由がわかります。全く何の共通点もないのに、といった場合はあまり志望度が高くないかもしれません。同時に、他社の面接状況も聞いておく必要があります。とても人気の企業の最終面接まで行っているようなケースは内定しても入社する確率は残念ながら高くないでしょう。

かといってどこの会社でも落ち続けている人を採用したいと思う人事もあまりいません。就職活動がうまくいっていない場合、その理由と分析を聞いてみましょう。それで、会社のせいにしたり人のせいにしたりする人は、何事も他責の傾向があり、入社しても長くは続かないかもしれません。一方で、今まで内定はないけれど、その原因と分析がしっかりしている場合は、入社しても失敗から何かを学び活躍する人材になってくれる可能性はあります。

シンプルにどれくらいの志望度ですか、と聞かれて第一志望です、と聞いて入社してくれるというように単純に考えないほうがよいです。第一志望ですというように指導されている場合もあります。もっと客観的に就活生一人一人が置かれている状況を分析し、どのくらいの学生が入社してくれるかという入社志望度を考えながらどれだけの人数に内定を出すかを計算しながら採用活動を行っていく必要があります。

10.入社して長く働いてくれるかを問う

入社してもすぐに辞めてしまう若手社員が後を絶ちません。入社して長く働いてくれる人材かどうかを見分けるためには、将来の夢やキャリアプランについて聞いてみるとよいでしょう。動いった部署でどう活躍したいかといったこと、10年後にはどのような仕事に従事したいかを聞くということです。そして、なりたい仕事につくためにどういった行動をして行きたいかを聞いてみるのも良いです。

また、入社して長く働いてくれるかは、順応性があるかどうかといった観点からも見るとよいです。いくら企業研究をしっかりしていても、実勢働くにあたってはどうしても理想とずれるところも出るでしょう。そういったときに退職を選ぶのではなく、働き続け戦力になってもらうには、順応性があるかどうかもチェックするとよいです。「思い通りにならない時にどのように思考を切り替えるか」といった質問で、順応性もあるかどうかチェックします。

「○○といった仕事はできますか?」とその○○にはあまり人気のない仕事を入れてみて、答え方をチェックするのもよいでしょう。

忘れがちなのが、自社の条件を面接の時にマッチングしておくことです。入社したときは転勤の頻度など大して説明しなかったのに、入社して遠隔地や海外転勤がわかって退社する、入社面接の時に配属する可能性のある部署について話をしたはずなのに、思った部署と違うから退職するといったこともあります。勤務条件や福利厚生、転勤の有無や給与のことなどは、入社する前に包み隠さず知らせておくようにしましょう。

おわりに

面接で大切なことは、本音で話してもらう、その人の本質を知りマッチングするとともに自社の魅力を伝えることであり、面接の目的も複数あります。そのためには、最初からその人の何を見てどう評価するかを考えながらあらかじめ質問しておくことを決めておかなければなりません。働くための価値観、性格、ストレス耐性やチームの役割、入社志望度や事故の客観的分析、自己肯定感などを面接で知ることができれば、採用の可否も判断しやすいのです。

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