人事評価制度で社員のモチベーションを上げる!人事評価のポイントや施策、企業例をご紹介

 

あなたの職場の社員は、モチベーション高く仕事に取り組んでいますか。モチベーションが高いと、仕事に前向きに取り組み、新たなアイディアが生まれたり、団結力が深まったりするなど、企業に大きなメリットをもたらします。

ただ日本におけるモチベーションの高い社員は、世界的に見ても少ないと言われています。モチベーションが上がらない理由には、社員それぞれに存在しますが、その一つに評価制度があります。

社員の努力をしっかりと評価する制度がなければ、モチベーションを高め、維持することは困難です。今回は、社員のモチベーションを上げる評価制度について、新たな人事評価施策や企業例を交えて、解説していきます。

1.モチベーション高く働く社員は何割?

あなたの周りの社員は、モチベーションが高いでしょうか、それとも低いでしょうか。仕事に対するモチベーションは社員それぞれですが、モチベーションが低い状態が続いてしまうと、企業活動にデメリットを与えてしまいます。

モチベーション高く働いている社員の割合の調査において、日本の社員は、モチベーションの低い社員がほとんどという結果がでています。モチベーションを上げる必要を実感するために、まず日本の社員の現状を把握していきましょう。

1-1 「やる気のない社員70%」「無気力な社員24%」

モチベーションを測る指標として、エンゲージメントという考え方があります。自分自身に合った働き方や、仕事に見合った評価を得るために、人材流出が起きやすくなった現在。その背景から生まれた考え方がエンゲージメントです。企業に対する愛着を表し、エンゲージメントの有無がモチベーションに影響します。

アメリカのギャラップ社がエンゲージメント調査を行ったところ、日本は世界132位となり、モチベーションのある社員はわずか6%という結果でした。「やる気のない社員」は70%、「無気力な社員」は24%という結果も出ており、深刻な状況と言うことができます。

1-2 モチベーションが上がる要因は?

モチベーションが低い社員が多い中、モチベーションが高い社員にはどのような要因があるのでしょうか。ダイヤモンドオンラインでは、「なぜやる気がでないのか?」という内容で調査を行っています。

やる気が出る主な理由には、

・仕事ぶりによって給与が上がるから

・昇進や昇給につながるから

・職場環境が良い

・将来的なビジョンがある

などの回答がされています。モチベーションが上がる要因の多くは、仕事に対して、適切な評価がされ、給与やスキルアップにつながるかが共通点です。モチベーションが上がらない大きな原因である人事評価について、現状を踏まえ自社の体制を見直す必要があります。

2.社員のモチベーションが下がる要因

日本企業のモチベーションの傾向と合わせて、社員のモチベーションが下がってしまう原因も把握する必要があります。社員のモチベーションは、個人の置かれた状況よりも、人事評価などの企業の体制による部分が多いと言うことができます。社員のモチベーションに問題を感じている場合は、自社の状況を想い出しながら、要因を見ていきましょう。

2-1 仕事に見合った給与が与えられていない

仕事をする目的には、生活するためのお金を得るという側面があります。お金は多いか少ないかが一目でわかります。社員が、支給された給与と仕事を照らし合わせて、見合ってないと感じると、仕事に取り組むモチベーションを失ってしまいます。

・「頑張っているのに給与が低い」

・「残業など仕事に時間を使っているのに、十分な給与が与えられない」

・「休日出勤があっても給与に反映されない」

など、給与はモチベーションを左右する重要な要素です。生活の大部分を占める仕事に対する評価の一つとして、給与を見直すことも求められます。

2-2 仕事に対して公正な評価がされない

給与に対する評価ももちろんですが、仕事への取り組みが正当に評価されないと、モチベーション低下を招きます。仕事に対する評価は、通常上司が行います。人が評価を行うため、主観的になってしまう部分もありますが、社員それぞれを客観的に評価することが前提です。

上司基準の評価がされたり、個人的感情が含まれたりすると、公正な評価がなされず、社員の不満がたまります。客観的に見て、頑張りが足りない社員の方が、何らかの要因で評価されているなども、周りの社員のモチベーション低下につながります。

2-3 評価が昇進や昇格などキャリアアップにつながらない

現代の社員は、自身のスキルアップやキャリアアップに重心をおいているとされています。自分のスキルを発揮できるチャンスも増えているため、今後ますますスキルアップ、キャリアアップを求める傾向が顕著になると予想されます。

評価が昇進や昇格につながらなければ、社員は企業での将来について不安を感じやすくなります。

・「この企業で何を目指したらよいのだろうか」

・「本当にやりたいことはなんだろうか」

と考え始め、モチベーションの低下につながります。企業のビジョンと社員の将来をリンクさせて、評価体制を整えることが重要です。

3.社員のモチベーションアップで得られるメリット

社員のモチベーションアップは、社員一人一人が生き生きと働くことができるという個人的効果にとどまりません。社員のモチベーションが上がることは、企業活動に大きな影響を与えるため、業績アップには不可欠です。人材流出対策にもつながるため、モチベーション向上は、現代の企業が取り組むべき課題と言うことができます。

3-1 業績を向上できる

仕事に対するモチベーションは、社員のパフォーマンスに直結します。やる気を持って、仕事に取り組み、目標達成やスキルアップに向けて、情熱を注ぐようになります。

企業を支える一人一人の社員のパフォーマンスが上がることは、企業全体の業績向上の原動力になっていきます。

3-2 社内の雰囲気が良くなる

モチベーションが低い社員は、ネガティブな発言や行動が多いなど、社内の雰囲気も悪い方向に影響されていくことが考えられます。モチベーションの高い社員ややる気のある若手社員にも影響し、モチベーションの低さが伝染する可能性もあります。

モチベーションが高いと、前向きな発言・行動が増え、社員同士のコミュニケーションも活発になります。社内全体の雰囲気が明るくなり、居心地の良い職場に変化していきます。

人間関係の良さを職場に求める傾向も強いため、人材獲得・人材育成の面にも効果があります。

3-3 社員の定着率が上がる

企業にモチベーションを下げる要因がある場合、社員の離職リスクが上がってしまいます。離職が起こると、人材不足で本来の企業活動ができなくなったり、新たな人材獲得のためにコストがかかったりするなどデメリットが多いです。

モチベーション高く仕事に取り組むことができると、企業へのエンゲージメントが高くなり、企業のために仕事に取り組むようになります。人材が定着することは、ノウハウの蓄積にもつながります。

優秀な人材がノウハウを積み上げることで、若手社員が育ち、企業を支える人材が育っていきます。人材獲得競争が始まっている現代では、人材確保の面でも、モチベーションアップは欠かせない人事政策です。

4.社員のモチベーションを上げる人事評価

社員のモチベーションを上げる方法として、人事評価があります。人事評価とは、社員といった人材を適切に評価する制度のことを言います。人事評価が公正なものでなければ、社員のモチベーションを下げるものに変化してしまうため、運用の仕方には注意が必要です。社員のモチベーションを上げる人事評価のポイントを見ていきましょう。

4-1 納得感のある評価とフィードバック

社員は、仕事が公正に評価されることで、やりがいを感じ、モチベーションを上げていきます。仕事と評価が対応した時に納得感のある評価となります。納得感のある評価をするためには、評価項目を明確にしたり、絶対評価を採用したりすることが方法にあります。

評価項目は、

・業績評価:仕事の成果を評価する

・能力評価:個人の能力を評価する

・情意評価:態度や意欲を評価する

といった3つの評価基準を踏まえて、設定することが望ましいです。社員の仕事を業績だけで見るのではなく、個性や意欲も評価することで、納得感のある評価に近づきます。

絶対評価もモチベーションアップに最適な方法です。相対評価では、周りの社員と比べて優れているかを判断するため、客観的とは言えません。絶対評価によって、社員一人一人を見つめる人事評価を行いましょう。

評価と合わせて忘れていけないのが、フィードバックです。なぜそのような評価になったのかを面談やミーティングなどで明らかにし、評価を共有します。評価の納得感だけでなく、今後努力すべきことや評価していることを伝えることができ、目標を持って仕事に取り組むきっかけとなります。

4-2 360度評価で多面的に評価する

上司から評価を受けることがほとんどですが、上司に見えない部分もあるでしょう。同僚や部下からの評価が高くても、上司からの評価は低いといったギャップが生まれることも考えられます。ギャップが大きくなると、人事評価の不公正さに疑問を感じ、モチベーションにも影響を与えます。

360度評価とは、上司だけでなく、同僚、部下といった社員の360度から人物評価を明らかにする評価制度です。360度評価には、自分も含まれるため、自己評価と他者評価を比較するきっかけともなります。多角的な評価によって、公正な評価がされるだけでなく、新たな気づきも生まれ、仕事への取り組みに活かすことができます。

人材不足が深刻になりつつある現代では、上司が部下を見切れないということも増えてきています。360度評価は、全員が評価に参加することで、上司の負担を減らし、一人一人のモチベーションを上げるという効果的な評価制度と言うことができる。

4-3 人事評価をキャリアアップにつながる

人事評価は、仕事に対する評価にとどまらず、昇進や昇格などキャリアアップにつなげることが求められます。高い評価を受けても、スキルを活かす権限や業務を与えられなければ、やりがいがなくなり、モチベーションが下がってしまいます。

人事評価の観点の一つである等級制度の考え方を取り入れ、能力や評価に合わせて、キャリアアップの道筋を示しましょう。目標ができ、評価がキャリアアップにつながることがわかり、モチベーション高く仕事に取り組むきっかけになります。

キャリアアップに意欲を持って取り組むことができる環境は、人材を育て、長期的な企業発展を実現します。

5.社員のモチベーションを向上する人事評価施策

モチベーションを上げる人事評価のポイントを把握したならば、次に具体的な人事評価施策を見ていきましょう。日本だけでなく、世界で日々働き方が変化し、人事評価施策も新たに登場しています。具体的な人事評価施策をチェックし、自社の人事評価の見直し・再編の参考にしてみてください。

5-1 ノーレイティング

ノーレイティングは、アメリカで新たに取り組まれている人事評価施策です。半期・1年の評価を廃止し、社員のランク付けをしない評価方式をとります。年次評価ではなく、リアルタイムで目標を設定し、対話によって随時評価をしていきます。

ランク付けが行われると、下のランク層や正当なランク付けではないと感じる社員のモチベーションが下がる傾向があります。ランク付けを廃止し、対話によって、リアルタイムの評価をすることで、納得感のある評価がなされ、モチベーションを高める効果が期待できます。

導入にあたっては、ミーティングや面談などが評価の軸となるため、管理職の負担増に注意が必要です。コミュニケーションが円滑に行われていなければ、機能しないため、人材と合わせて、社内環境も考慮して、導入を検討しましょう。

5-2 Check-in制度

Adobeが実践しているCheck-in制度は、ノーレイティングと同じく、ランク付けを廃止する人事評価施策です。ノーレイティングが対話を軸にしていることに対して、Check-in制度はフィードバックを軸としています。

マネージャーに評価を一任し、社員へのフィードバックを形式にとらわれないコミュニケーションで行います。ランク付けによって、報酬が決められていた時に比べて、仕事への評価が報酬につながるようになり、モチベーションアップを成功させました。

主体性のある社員が増え、退職率が激減するなど、人材確保の面でも成果を上げています。マネージャーなど管理職の負担増は懸念されますが、HRテックを活用して、その他の人事業務を効率化することで解決の可能性が見えてきます。

5-3 コンピテンシー評価制度

コンピテンシー評価制度は、高い成果を上げる社員を評価基準とする人事評価制度です。企業の求める人材を評価基準とするため、全体の目標を高く設定し、モチベーションを引き上げることが期待されます。

社員にとって、評価を上げるための基準が明確であり、取り組みやすいこともモチベーションに影響します。ただ評価基準の設定を誤ったり、企業目標に合っていなかったりすると、モチベーション低下だけでなく、企業活動にも影響があるため、注意が必要です。

6.社員のモチベーション向上を目指す企業例

最後に、モチベーションアップを実現する人事評価制度を取り入れている企業の実践を見ていきましょう。自社の人事評価制度と照らし合わせながらチェックし、自社の評価制度の改善点を見つけましょう。

6-1 【トヨタ自動車株式会社】人望を評価基準に加える

トヨタ自動車では、人事評価の項目に「人望」という項目を加えています。人望が評価に占める割合は10%であり、高評価には欠かせません。

人望が評価に加わることで、部下とコミュニケーションを積極的にとったり、フォローを行ったりする姿勢が自然に生まれます。取り組む本人のモチベーションが上がるだけでなく、モチベーションの低い社員のモチベーションを回復する存在として、活躍が期待できます。

6-2 【ヤフー株式会社】バリュー評価

検索エンジンでおなじみのヤフーには、

・課題解決

・爆速(意思決定のスピード)

・フォーカス

・ワイルド(チャレンジ精神)

といった4つのバリューがあります。バリューといったような行動規範は、言葉だけになってしまうこともありますが、ヤフーではバリューと評価を関連づけています。バリューに向かって努力することは、個人の成長にもつながり、モチベーションアップに効果を上げています。自社の目標と人事評価をリンクさせることから始めてみましょう。

7.まとめ

人事評価は、社員のモチベーションに直結します。公正な評価がされなければ、モチベーション低下を招き、業績にも悪影響を与えます。

社員のモチベーションを上げる人事評価のポイントは、納得感のある評価・フィードバック、多面的な評価、キャリアアップにつながる評価などが挙げられます。ノーレイティングやCheck-in制度、人望評価など具体的な人事評価施策を参考に、自社の評価制度を見直し、社員のモチベーションアップを目指しましょう。

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