人手不足は人事も同じ 対策と具体的に取り組んでいる企業を見る

 

はじめに

企業の多くが抱えている課題が、人材不足であり多くの会社で課題となっています。これは、人事採用部門も同じです。特に、最近ではインターネットを使った採用業務が一般的になっており、一つの企業に対して応募者が増えているのが現状です。そのようななか、業務を効率化して人手不足を補っている会社もあります。このような労力不足に具体的に取り組んでいる企業の方策をとることで、採用業務の効率化を図りましょう。

1.応募者対応を効率化する

採用業務にまず必要なのは、コンタクトをとってきた人が確実に応募することです。適正な母集団が形成されてこそ、適正な採用活動ができるからです。就活生はいろいろな企業に興味関心を持つため、そのなかから応募する企業が絞られてきます。そういった際に判断の基準となるのが誠実に対応するからです。採用業務が負担になるからといって応募者への対応が後手後手に回ると、それだけ母集団の形成に支障をきたします。

そのようなときに応募者対応を効率化するためには、まず自動返信機能を使うことです。自動返信メールでエントリーを受け付けた旨を返信するとそれだけ誠実な対応をしてくれたとして学生の興味関心も高まります。自動返信機能はぜひ利用したいものです。そして応募者データをエクセルやCSVファイル、Googleスプレッドシートなどで管理するようにしましょう。

これらのシートを採用担当部門で共有化することがその後のスムーズな対応に必要です。応募者のデータは日々更新され、辞退者が出たらその都度データを切り捨てることで、今現在どのような段階化がリアルタイムにわかります。データの並び替えをしてどの大学からどのくらい応募したかもわかります。また、複数の採用ツールを使用して応募者を集めている場合は、どの採用ツールからエントリーしたかもわかるので採用活動の振り返り、懸賞にも役立ちます。

2.会社説明会を効率化する

次に人事採用部門が労力を費やしているのが、会社説明会です。会社説明会と一口に言っても、合同企業説明会、大学での会社説明会、自社での会社説明会があり、それぞれどの対応も手が抜けません。また、遠隔地での採用の場合は、会社説明会のために全国へ出張することも行われています。しかしながら会社説明会がなくいきなり応募という形になると、どのような会社かわからないので学生たちも躊躇してしまい、それが母集団の形成に支障をきたすのです。

会社説明会を効率化する方法として、webを使った会社説明会が挙げられます。自社のホームページにアクセスし、動画での会社説明会を見てもらうなどです。質疑応答がありませんから、これはSNSなどを使って個別に対応するとよいです。ただ、学生の質疑応答は多くの質問が共通しているので、想定Q&Aを載せることで対応できることも多いです。動画はパスワードで管理するなど情報流出には留意しましょう。実際には業種業界を問わず、Webを取り入れた会社説明会は多くの企業で実践されています。

大学での会社説明会では、会社説明会と一次選考を同時にやって効率化するという方法もあります。選考を設けることで本気度の高い学生が集まることが期待できますし、一人一人の学生とより深くコンタクトをとることができるからです。一方、自社での会社説明会についても、一部を動画にするなどリアルな説明と映像を組み合わせることで、その分労力を削減できます。

会社説明会自体を外部委託するという方法もあります。話下手な人が説明するよりも、プロが説明したほうが魅力が伝わりやすいというメリットもあるのですが、こういった会社に依頼することで面倒な会場探しから会場手配、出席者への連絡などが業務委託でき効率化へつながります。


3.OBOG訪問を効率化する

採用活動において学生が行うのが、OBOG訪問です。ですが、現場によってはそのようなことに時間をさける社員が少ない、ニーズに追いつかなかったり実際に何を人事に報告したらよいかわからないといったことがあります。そのため、最初からOBOG訪問を実施していない会社もあります。会社説明会で若手社員との質疑応答を行うのでそれをもってOBOG訪問の代わりにするといった会社も多いです。航空会社では、AIが疑似OBOGとなって学生とLINEでやり取りをすることもあります。

また、1対1の訪問だとそれだけ労力がかかります。だからこそ、会社見学会を実施してある程度多人数を少しの社員に対応させるといった取り組みを行っている金融機関もあります。効率化だけでなく情報漏洩のリスク管理と情報の透明化の点からも支持されています。また、はっきりと「OBOG訪問は選考に関係ないというスタンスを打ち出している会社もあり、そうすると自然と数が減ります。いずれにせよ、会社としての姿勢を明確化することが、業務効率化につながります。

4.書類選考を効率化する

大量の書類に頭を悩ませている人事担当者は少なくありません。書類選考を効率化させる方法はいくつかあります。まず最近増えてきているのが書類選考にAIを導入することです。多くの就活生が面接試験にAIを導入することには否定的ですが、書類選考ならやむを得ないと考えていますので、抵抗感は少ないでしょう。求められる人物像とマッチする人材を選ぶことができます。

書類選考を簡素化するという方法もあります。なるべく欄を少なくしてみる部分を少なくすればそれだけ時間をかけずに済みます。逆に、書類選考でかなり多くの文量を書かせる会社もあります。ある流通業界ではこれからの小売店市場の動向、当社の位置づけ、どうすれば未来永劫発展するか、この会社でやりたいこと、自分が思うアイデアなどを書かせるボリューム量の多いエントリーシートを用意しています。これを書いてくるには本気で志望しないと割に合わないエントリーシートだからこそ、本当の志望者のみ応募するので効率化が図れます。

一方で書類選考のやり方で工数を削減しているところもあります。そもそも社内文書は簡潔に結論を書き、その論拠を書くといった方式のものなので、最初に結論が来ない冗長な文章は、最後まで読まずに不合格にする、という方法です。また、社員の出身大学のエントリーシートを先に見る、といったように実際に選考に来てくれる可能性の高い大学からその後の選考に案内することもあります。

5.選考日程調整を効率化する

意外と多い雑多な人事が、選考日程の調整です。特に面接などは相手の都合もあることなので実際に来られなくなったり、急に日程変更を頼まれるなど、調整にも一苦労です。このような日程調整業務をおろそかにしていては対応力のない会社として母集団の形成に支障をきたすことからも、真摯に対応する必要があります。

この選考日程業務を効率化するにはいくつかの方法があります。まずは選考日程調整のみ外部委託する方法があります。外部委託とまではいかなくても期間限定のパート社員に任せてしまう会社もあります。Googleスプレッドシートなどを使って、空いているところに自分のID番号を入力させて枠を受験者に埋めさせる方法もあります。また、一次選考をAIを使ったWeb面接にして、そもそもの選考日程調整という業務自体をなくすといった方法もあります。人間相手ではないので24時間好きな時に選考を受けられます。

6.グループディスカッションや作文など工程を見直す

採用業務を行っていれば、なんとなく毎年の慣習に従って選考を行いがちです。その時に工数を割かれるのがグループディスカッションや作文です。グループディスカッションは、一定の人数がいなければならないので、キャンセルなどが出ると選考に支障をきたします。グループディスカッションにてそれを選考に組み入れる明確な理由がなければ、廃止してしまうのも一つの方法です。対策などを行っている人とそうでない人の差が出やすい選考でもあるからです。一方でチームで働くことが求められ、チーム内の役割が非常に重要視される会社では、むしろ面接の後に行い、本格的に内定を出すための判断基準とするといった方法もあります。

作文についても意見が分かれるところです。文章作成能力だけでいえば、履歴書やエントリーシートに組み込むことが可能であり、一般常識や論理的思考力を見るのであれば、筆記試験、とりわけSPI試験などで代用できそうです。しかしながら、大手通信会社では、その作文をAIに判定させて、自社の理念と近い人をピックアップするという方法で作文が大きなウエイトを占めることがあります。いずれにせよ、毎年の選考方法はかならずみなおし、労力のわりに学生を差別化できないことについては廃止するのも一つの方法です。

7.面接業務を省力化する

­­­採用面接業務を省力化すること、これは採用業務の省力化のためには避けては通れないことです。たとえば、一次面接はAIを使った面接にして、ある程度その人の人となりを科学的に判断するといった企業も少なくありません。また、そこまではいかなくても、一次面接は集団面接にしてかなりの人数の面接を短時間で行ってローテーションしていくという方法もあります。

面接業務を省力化する方法としては、面接ではあえて志望度合いを聞かず、その後に個人的な面談を簡単に行うといった方法もあります。面接では「第一志望ですか?」と聞かれるとよほどのことがない限り第一志望と答えるのがセオリー化しています。そのため、面接試験ではなかなかこちらに入社してくれるかの判定が難しいです。

一方、一対一の面談という形でなら本音も出やすく、併願先の状況などからみても本当に志望度合いが高いかどうかを判断してその後の選考につなげやすくなります。この時のポイントとしては、面談は若手の人事部が行うことです。職責のある人では時間ももったいないですし、若手の人なら本音を出しやすいからです。

もちろん、採用面接自体を委託するといった方法もあります。コストはかかりますが面接のプロの人がその会社に合う学生を選考しますし、面接日の調整から面接の合否の連絡まで一過して委託できるので、効率化につながることもあります。

8.内定者フォローを省力化する

せっかく内定をしても、内定辞退があればまた採用は一からやり直しになり、多大なロスが発生してしまいます。そのためにおろそかにできないのが内定者フォローの業務です。しかしながら、内定者フォローと一口に言っても何をしたらよいかわからず、結果的に内定辞退を生み出している企業もあります。

そういった内定者フォローについては、それ自体を外部委託する方法もあります。また、イーラーニングなど、一部の内定者研修に近いプログラムを取り入れるという方法もあります。課題の提出状況などにより、本当に自社に来る気があるのかどうかを判断できるので、欠かせないツールです。

また、面と向かって懇親会などを実施して内定者フォローをするのは、会場の用意から案内、日程調整など手間がかかるものです。もちろん内定式など形式的必要な部分はありますが、それ以外での頻繁な懇親会や面談は労力がかかります。そのため、内定者専用のSNSを用意してそこでフォローするといった方法もポピュラーになってきつつあります。

9.そもそもの母集団形成を見直す

売り手市場だからこそ、自社の情報をいち早く流したい、たくさんの学生に応募してほしいと思うのは当然のことです。多くの企業では就職サイトを使っているでしょうが、複数の業者に情報を出しているところがほとんどです。しかしながら就職サイトは一本化したほうが当然手間がかかりません。加えて、複数のサイトに登録する費用をその分一本化したサイトに上乗せすれば、他社と差別化する機能をつけることだってできます。たいていの学生は、複数の就活サイトに登録するものです。だからこそあまり母集団形成に影響を及ぼしていないサイトは思い切ってやめてみるのも一つの方法です。

合同企業説明会などに参加する企業も多いでしょう。多くの企業がこれらの合同企業説明会では会社の説明をするだけ、にとどまっていますが、そこで簡易な履歴書などを書いてもらい、それで連絡することによって母集団の応募を増やすこともできれば、逆にこれを選考として母集団をスリム化できます。

応募者は多ければ多いほど良い、という考え方では本当に来てほしい人と雑多に多くある企業の一つとして受けている人の区別がつかないこともあるでしょう。そういった意味でも、今の応募者と倍率、内定数と内定辞退率などから割り出し、最初から適正な母集団になるように調整するとよいです。そのようにすることで、無駄がなく、効率の良い採用活動を遂行できます。

10.大学とのつながりを見直す

いくら売り手市場になったからといっても、やはり大学の就職課としては就職率の向上のためにあの手この手を尽くすものです。そのため、大学とのつながりにより効率的に採用するという方法もあります。あまりにも内定辞退が多いのであれば、学内推薦制度を利用するのも一つの方法です。その大学からの応募、という応募者の縛りはありますが学内推薦で内定を出すと内定辞退ができないので内定辞退に悩まされている企業はこういった制度を活用するのも良いです。

また、学内説明会などに参加するという方法もあります。これは、人事部が工数を割かなくてもその出身大学の社員を活用することもでき、そこで提出された履歴書やエントリーシートを活用してこちらから有望な学生に連絡を取るという方法もあります。特に規定していないのに決まった大学から応募がある、毎年のように内定者が出る大学がある、といった会社は大学とのつながりを見直すのも良いでしょう。

11.そもそもの業務フローを見直す

学生の新卒採用市場は、年々変化するものです。また、合同企業説明会や大学の企業説明会、個別企業説明会やОB訪問など個別のタスクだけでもかなりたくさんの量があります。まずは内定した、もしくは社員として入社した学生の就職活動を見直し、あまりにも非効率な取り組みについては廃止するなど取捨選択をする必要があります。

加えて、内定辞退が多くて非効率的な就職活動をしているのなら、もしかしたら採用活動時期を見直すことで改善できるかもしれません。早くから採用すればするほど、辞退の率も上がります。まずはインターンシップやWebによる情報提供に留めておき、効果的な時期になって一気に採用活動をするという方法もあります。

おわりに

採用活動は日に日に複雑化しており、人事部としても工数を割かなければならない業務の一つとなっています。しかしながら、しっかりとした業務フローを確立し、個々のタイミングで効率化を図ることができれば、採用に係る労力や費用を減らすことができます。

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