新入社員のメンタルを保つ方法

はじめに

 

日本のサラリーマンにおけるメンタルの不調は、もはや社会問題となっています。特に新入社員のうちにメンタル不調を抱えてしまうとそのまま早期退職につながるリスクがあり、その後の社会復帰が難しくなります。一方企業しても採用コストに見合うだけの成果が得られないため、新入社員のメンタル不調は、企業にとっても新人にとっても良くありません。新入社員のメンタルを保つ方法を抑えておくとよいです。

1.新入社員のストレス源とはどのようなものか

ストレス社会と言われて久しくなりますが、若者の価値観も時代とともに変化するため一概に我々がイメージするストレスの原因と実際の若者の感じるストレス原因には乖離があります。

新入社員がストレスを感じる原因はずばり、人前で叱責をされることや自分が正当に評価されていないと感じること、成果が目に見えないところなどです。特に競争が激しくない時代に育っているため、叱責されることへのストレスは若手になればなるほど大きなダメージになります。人前で叱責されることを恥ずかしいと思い、ささいな注意でも大きなストレスになるのです。

次に、新入社員が育ってきた時代は、どちらかというと個性が重要視され、一斉におなじように教育するよりも個性的であることや自分の才能を伸ばすことに主眼が置かれていました。そのため、自分の得意特性がわからなかったり、それが生かされていないと感じるときにもストレスになるようです。

加えて、いまどきの新入社員は不景気な時代しか知らず、さまざまな社会問題のなか不安とともに暮らしてきました。特に介在する世界は実社会だけでなくインターネット上にもあり、それゆえに目に見えないコミュニケーションを培ってきた世代でもあります。だからこそ、目に見えないものに対する不安があると推測されます。

2.ストレス源を取り去るような指導をする

人前で叱責されることでストレスが溜まるからといって、新入社員を甘やかせばメンタルが安定するというものでもありません。全く何の指導もされないと新人も育たず会社の戦力ダウンとなりますし、新入社員だって自分がそこにいる意味が分からなくなります。

叱責するときは不用意に人前でしかるのではなく、感情的に叱責するのではなく論理的に改めるべきところとあわせて伝えるようにしましょう。新入社員にメンタルの強さを求める傾向は日に日に増しており、ストレスに強い新入社員を採用するようなノウハウなどもあります。しかしながらどのようなストレスの強さを持っていても、ストレスにさらされ続けると強い人でもメンタルが弱ってくるものです。

会社側は特に新入社員のうちはある程度のストレスを感じるものだということを自覚し、考えられるストレス源はなるべく取り除くようにしましょう。それでは指導ができないという意見もあるかもしれませんが、感情的な叱責をしなくても悪い点は伝えられます。たとえ叱責するとしても個人の尊厳を傷つけないようなシチュエーションに注意するだけでも違うでしょう。

3 新入社員の最初のうちに身につけなければならないことを教える

新入社員のメンタルを保つ方法としては、負荷の掛け方に注意をすることが必要です。仕事の与え方といってもよいでしょう。それは何も仕事を一から少しずつ与えるというわけではありません。まず身につけなければならないのは、仕事における優先順位の付け方やスケジュールの立て方などです。

それにもかかわらず、仕事ばかり与えるのは感心できません。たとえ簡単な仕事ばかりだったとしても、新入社員が早い段階で「複数の仕事に対してどうやって優先順位を付けたり納期をこなすか」「どこまでを自分で行いどこから人に頼るか」「自分で行った仕事のセルフチェックといったことを身につけなければ、独り立ちしたときにストレスを感じてしまいます。

最初は簡単な仕事からですが、簡単な仕事だからこそ自分の力量を見極めて仕事をコントロールするスキルを身につけることが必要です。仕事を組み立てて考えながら行えるように、仕事の与え方についてはしっかりと考えたうえで実践することが必要です。

4.悩みを早い段階で引き出す

新入社員のメンタルが弱ってしまうのは、ささいな悩みが徐々に複合的な要因となり、そして大きくなって心身の不調を引き起こすことです。しかも何が悩みとなるのかについては個人差があります。新入社員のメンタルが弱ってからはじめて「こんなことで悩んでいたのか」と感じるのではすでに手遅れとなっている場合もあります。

そのため、新入社員が悩みに支配される前に悩みの原因を取り払うことが必要です。とはいえいきなり「悩みがあるのか」と聞いて本音を話す新入社員はあまりいないでしょう。だからこそ聞き方を工夫することが必要です。折に触れて仕事の感想や課題だと思うことについて聞く、もしくはレポートとして提出させるようにするとよいかもしれません。「悩み」というかたちではなかなか上司に教えにくいものですが「課題」となると何かしら絞り出すことが多いです。その課題のなかにその新入社員が仕事で悩んでいることなどが含まれています。そのため、課題の中から新入社員の悩みを引き出し、深刻にならないうちに対処する、それを繰り返すことが良いです。

新入社員にとっても「自分で課題を考える」ことを早い段階から習慣としておくことで、悩みのセルフコントロールができるようになります。結果、自分で自分の課題や悩みを見つけ出すことができるようになります。「何に悩んでいるかわからない」「どうしてよいかわからない」というのはメンタルが弱った人が陥りがちな思考回路です。そういったことを自分で回避できる、それがメンタルの強い新入社員を作り出すのです。

5.仕事の意味づけを考えるように促す

人がストレスを感じるときは、「意味の分からないことを手探りで進めさせられているとき」です。メンタルコントロールのできるサラリーマンはたとえルーチンワークであったとしてもそれに意味を見出し自分で無意識に鼓舞できる社員です。

新入社員のメンタルを保つには、自ら自分で仕事に意味づけを行い、そして自分で目標管理ができるスキルを身につけることです。そのため、最初は仕事の意味を教えていくことから始まり、少したつと仕事の意味を自分で考えさせて答え合わせをする、そして最後には自らその意味を考えて実践できるようになるというプロセスを歩ませることが大切です。

そのため、会社に入社してからもしくは入社する前の段階で、どのような組織がどのような仕事をして、それがどのように会社の利益につながっていくのかをしっかりと研修させることが大切です。早い段階で組織がどのようなところか俯瞰的に見ることできる新入社員は、ストレスを感じることも少なく、ストレスを感じたとしても自分でコントロールできるようになります。そういったことが新入社員のメンタルコントロールにつながっていきます。

6、モチベーション維持を勘違いしない

モチベーションという言葉がビジネス用語として使われて久しく、多くの人がその意味について理解しています。メンタルコントロールとモチベーションは深い関係を持っており、メンタル維持と言うとモチベーションについて言及することも少なくありません。モチベーションはそもそも物事を行う「動機付け」です。物事を始めるのに少し背中を押してくれるエンジンのようなものです。

モチベーションがあると、人はやる気がアップして心の中が明るくなり、前向きになります。よってメンタル的にはとても安定した状態となります。しかし、モチベーションはどちらかというと導火線のようなもので、長い間使えるものではありません。モチベーション維持という言葉も良く使われていますが、長い間安定して維持できるというのは、モチベーション本来の意味を考えても難しいものです。

モチベーション維持には安定だけでなく波があります。物事を行う「動機付け」を自分で行い、自分のモチベーションは自分で高めることができれば、それだけメンタルコントロールができることです。だからモチベーションは維持できるものではないという考え方をまず身につけ、仕事の動機となる「目標」であったり「称賛される結果」というのは自分で導き出せるような人間に育てることが先決です。

そのためには新入社員のうちはある程度、研修などで研修担当課が仕事の割り振り、そして目標設定などを考えます。どうすればモチベーションアップできるか、仕事に意味を見出せるのか、そういったことを振り返りながら行えます。これは、新入社員を戦力として仕事を与えることからは随分遠い位置にいますが、メンタルコントロールができる新入社員を育成する第一歩となるのです。

モチベーション理論などには、人の段階の要求として社会的欲求や尊厳欲求、自己実現欲求などがありますがそういった上位の欲求を自ら見出せるように導くのがメンタルの安定にもつながっていきます。具体的には仕事で認められたり、あるべき自分がこの会社で(いつか)実現すると思わせることです。モチベーション維持を単にやる気のある状態が維持されると言ったように勘違いするのはおすすめできません。

よほどの超人でない限り、常にやる気を感じているというのは不可能なことで波があるというのをわかったうえで自分が「やる気が出ない」と感じたときにどう対処するか、メンタルコントロールできるかを考えさせるようにしてじっくりと育てていくのが大切です。

7.ストレスマネージメントの研修を設ける

新入社員といえば毎日知らないことをしなければならないため、大したことでなくてもどうしてもストレスが溜まってしまいます。そのようなストレスに対して「ストレスを与えないようにする」と言うのはどうしても難しいでしょう。だからこそ、ストレスマネージメントができる研修を取り入れるのが良いです。

ストレスマネージメントの専門家やそういった専門の会社も増えてきているので、そういった新しい研修制度を取り入れることが大切です。自分の思考パターンを知ったり、どういったときにストレスを感じやすいかを知ることで、自分でストレスを回避することができるようになるからです。だからこそ、ストレスのかかる実社会においても自分でストレスを解消することができるようになります。

8.さまざまなコミュニケーションスキルを身につける

新入社員がメンタルを病んでしまう大きな原因として、特に上司との関係性があります。そのため、上司側に対してパワハラや行き過ぎた指導をしないようにするのは当然のことですし、多くの会社で取り入れられていることでしょう。しかしながら、上司に問題がないケースや一昔前まではそのようなことでメンタルに不調を感じるほどの程度でない出来事でもメンタルを病んでしまうケースはあります。

いくら社内の人間に対して新入社員のメンタルを保つように指導したとしても、行き過ぎた指導はかえって新入社員を「腫れ物に触る」ように扱ったり場合によってはそんな気遣いをしなければならない新入社員の配属自体を嫌がることもあります。職場が気を付けていても、新入社員が実際に業務を行うようになってからは社外の取引先やお客様にストレスを与えられることもあります。

新入社員がメンタルを保つには新入社員自身がコミュニケーションスキルを身につけてある程度、多様な人と対応することができるようになるのが必要です。また、困ったことに対して自ら相談できるようなスキルも、コミュニケーションスキルの一環として身につけることができるとよいでしょう。

9.基本的な生活習慣や挨拶など、大切なことはまず指導する

新入社員が職場で受け入れられるかどうかは、基本的な社会人としてのスキルが身についているかどうかです。そこまで新入社員を育てるのは研修部門の仕事になります。挨拶や礼儀がきちんとしている新入社員は職場でも受け入れられやすく、より大事にしてもらえる確率が上がります。自分が必要とされている空間ではストレスを感じにくい、すなわち自己肯定感が上がるので新入社員のメンタルも安定するでしょう。

また、基本的な生活習慣はメンタルコントロールにも役立ちます。特に朝からあいさつで姿勢を正し大きな声を出すことは気分を前向きにしてくれます。また、人事研修部門は新入社員に対して、飲み会などに誘われることが多いですが、きちんとした睡眠時間を確保し、生活サイクル、生活習慣を身につけることの重要性をしっかりと指導していきましょう。睡眠不足の状態では些細なことでもストレスと感じてしまったり、気分がふさぎがちでメンタルが弱くなるからです。

10.人事研修部門と新入社員、職場とのコミュニケーションが大事

新入社員のメンタルを保つにはやはり、職場に慣れるまではあまり負荷をかけるわけにはいきません。ですが現場が忙しすぎるあまり新入社員が仕事を覚えられない、もしくは長時間労働を行うのでミスをするといったこともあります。ミスをするとそれだけ叱られたり自信を喪失したりしてメンタルに支障をきたします。

そのようなことになる前に、人事研修部門は新入社員とコミュニケーションを取ることができる定期面談やレポートの交換などといった機会を定期的に設けることが大切です。そうすることで新入社員の異変にも早期に気づくことができるだけでなく、新入社員のメンタルにも良い動きができるようになるからです。

11.一人一人にあった育成計画が重要

最近の新入社員の特徴は、個性を大事にして育てられていることです。そのため、新入社員を戦力化すると言っても万人にふさわしい教育はないですし、皆を同じように育てることも難しい時代になってきています。

そのため、新入社員のメンタルを保つにはやはりその人にあった教育が必要になってきます。内定して入社する前からしっかりとコミュニケーションを取り、その人にあった指導の仕方が求められます。また、仕事においてもそれをしてもらうことの意味を一人一人に最初は丁寧に教えることで、自分から仕事の意味づけができるようになります。そうした仕事への意味づけができるようになれば、モチベーションも上げられ結果的にメンタル部分も自分でコントロールできるようになります。

おわりに

心身に支障をきたして早期退職や長引く休職につながることが社会問題となっており、そのため新入社員のメンタルを保つことはとても重要なことです。新入社員のメンタルを保つには、新入社員の指導の方法を工夫したり、仕事に意味を見出す、個人個人の特性に合わせた育成計画を作るのが必要になります。また多かれ少なかれストレスがあることを理解し、自分で自分をセルフコントロール、メンタルコントロールできる人材にすることが大切です。

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