ピープルアナリティクスとは?活用例や導入企業をご紹介

 

テクノロジーの発展を受けて、人事分野にもテクノロジーが導入されています。データ収集や分析は、人事業務に科学的アプローチをもたらします。人材に対して、データを活用して分析し、様々な人事活動に生かすことが求められています。

人材分析の技術であるピープルアナリティクスが今注目されています。分析結果を人材育成や人材採用、人材配置などに生かすことができます。今回は、ピープルアナリティクスとは何かを解説し、活用例をご紹介していきます。

1 ピープルアナリティクスとは

まずピープルアナリティクスとは何かをおさえましょう。ピープルアナリティクスを可能にするツールは数多くリリースされています。2019年6月24日には、将来予測を可能にした新たなピープルアナリティクスがリリースされ、さらに注目を集めています。

1-1 ピープルアナリティクスが求められる背景

これまでの人事業務は、テクノロジーではなく、人間主体であったため、主観的な判断が中心でした。発展し続けるビジネスシーンや働き方に合わせて、人材も変化し、主観的な意思決定ではズレが生じることが増えていきます。

時代の変化によって、テクノロジーが発展したことによって、人事分野にもテクノロジーが導入されるようになり、海外から日本へ流れが伝わっています。テクノロジーが収集した人事データを分析することで、客観的な意思決定を可能にしました。

現在は、働き方の多様化にともなって、人材流出も顕著になってきています。ピープルアナリティクスによって、信頼できるデータ分析をもとにした戦略的な人事がトレンドになりつつあります。

1-2 AIやビッグデータを活用した人材分析 

ピープルアナリティクスは、AIやビッグデータを活用し、人材の分析を行う技術です。テクノロジーによって、データを収集し、分析することで、様々な人事業務を活性化・効率化することができます。

人材採用や人材育成、人材配置など、人事に関わる様々な問題を発見することも可能です。人対人では分からなかった人材の特性を、科学的・統計的に分析することで、問題が顕在化します。人材一人一人を分析することで、組織の問題も明らかになっていくでしょう。

1-3 ピープルアナリティクスのメリット・デメリット

ピープルアナリティクスのメリットは、確かなデータ収集です。ピープルアナリティクスの方法は発達し、端末をつけることによって、行動データを収集する場合もあります。

人材それぞれのデータだけでなく、行動データも人材戦略に利用することができるようになっています。あいまいな判断や希望的な戦略を防ぎ、確かなデータの根拠をもとに、人事業務をすることができます。

ただ人材のあらゆるデータを収集することは、プライバシー面でデメリットがあります。社員の管理と認識されてしまうと、社員の自由がなくなり、働きにくい企業になってしまいます。導入の際は、運用方法や目的などを企業全体で共有することが不可欠です。

2 【ピープルアナリティクス活用例1】人材採用

ここからは、人事業務それぞれの場面をピックアップし、ピープルアナリティクスの活用方法を解説していきます。活用の手順と合わせて、ピープルアナリティクスの効果も見ていきましょう。

まず見ていくのは、人材採用です。「自社に合うかも」「活躍してくれそう」といった経験や勘に基づいた主観的な意思決定が多かった人材採用。ピープルアナリティクスは、自社で活躍する確かな人材を採用するために、欠かせない技術と言えます。

2-1 自社で活躍する人材データを抽出

企業と人材のミスマッチは、離職を促し、定着率を下げてしまいます。採用活動の労力が無駄になり、人手不足も重なり、社員一人一人の負担が多くなるという悪循環を生み出します。

人材採用にあたって、ピープルアナリティクスを活用することで、まず自社で活躍する人材を抽出します。ハイパフォーマー分析とも言われ、ハイパフォーマーを基本情報や行動データ、評価データなど多方面から分析します。自社のハイパフォーマーを定義することで、採用活動の一定の基準を作ることができます。

ここで注意したいのは、評価基準を明確にすることです。経験年数や直近評価だけでは、正確に分析できません。評価の平均値などを参考にすることで、正確にハイパフォーマーを定義できます。

2-2 自社に合う人材像を明確にする

ハイパフォーマーの傾向は、自社が求める人材像が現れていることが多いです。ハイパフォーマーの何が企業に良い影響を与えているか、どのような行動をとっているかなどに注目して、自社に合う人材像を明確にしましょう。採用した人材とのミスマッチを防ぐことができ、企業に定着することを期待できます。

離職対策にも、ピープルアナリティクスが有効です。ハイパフォーマーだけでなく、ローパフォーマーも見つかります。パフォーマンスが低い理由には、モチベーションの低下など離職につながる要因が隠れているかもしれません。すばやく察知し、フォローすることで離職を防ぐことができるでしょう。

2-3 求職者をスコア判定・採用

採用を決める場面でも、ピープルアナリティクスが活躍します。採用に関わるデータを、ツールを活用してスコア化することで、客観的な評価をすることができます。自社に合った人材を逃すことが少なくなるでしょう。

スコア化した採用データは、将来の人材採用にも活用することができます。どのような人材を採用したのか分析することで、効果的な採用活動を実現できる可能性が高まります。

3 【ピープルアナリティクス活用例2】人材育成

人材育成においても、ピープルアナリティクスが効果的です。能力や達成度などを、データをもとに分析することで、人材に合った育成を可能にします。人材確保につながる部分でもあるため、非常に重要です。

3-1 人材データをもとに育成計画を立案

人材の行動データやモチベーションなどは、育成計画の立案に活用できます。人材の評価や能力をデータでスコア化し、不足している部分を明らかにします。必要な能力に特化して、育成計画を立てることで、企業での成長を促すことが可能です。

人材の求める働き方を実現するという面でもピープルアナリティクスが効果を発揮します。スキルを発揮したいなど自己実現の考えが求職者に見られるようになっているため、人材に合ったアプローチが求められます。

3-2 人材に合ったキャリアプラン・トレーニングを実行

育成計画は、ただ仕事を任せるだけでは実現されません。人材育成・人材評価をキャリアプランと結びつけることが、モチベーションアップやスキルアップにつながります。

人材の現状をピープルアナリティクスによって、スコア化することで、人材それぞれに合ったキャリアプランを立てることができます。キャリアプラン・人材の特性に合わせて、目標を設定し、日々の業務・トレーニングに取り組むことができるでしょう。

3-3 ハイパフォーマーの発掘

ハイパフォーマー分析は、人材採用だけでなく、人材育成にも有効です。これまで主観的判断で評価されていた場合、ハイパフォーマーが隠れている可能性があります。自社で活躍している人材の特性の分析から、新たなハイパフォーマーが発掘できるかもしれません。

発掘されたハイパフォーマーは、離職リスクのある人材かもしれません。特性を理解し、育成計画を立て直すことで、戦力として、成長させることができるでしょう。

4 【ピープルアナリティクス活用例3】人材配置

どれだけ優秀な人材でも能力を発揮できなければ、モチベーションが落ち、離職のリスクも高まります。企業の発展にも、人材一人一人の力が必要であるため、適切な人材配置が欠かせません。ピープルアナリティクスを用いて、人材配置を見直しましょう。

4-1 部署・チームとの相性を分析する

ピープルアナリティクスで明らかになった人材の特性は、部署やチームとの相性を分析するために役立ちます。人材の特性が、現在の部署・チームで必要とされる特性と差異があれば、能力を発揮できていないと捉えることができます。

部署・チームで活躍している人材の特性を明らかにすることも大切です。部署・チームの成果を上げるために、必要な人材が明らかになります。

4-2 人材に合った部署・チーム編成を行う

人材それぞれの特性が分かったら、人材の能力を最大限に生かす部署・チーム編成を行いましょう。ポテンシャルを発揮することができ、業績アップにもつながっていきます。

適切な人材配置は、部署・チームの生産性を上げるだけでなく、個人の成長にもつながります。スキルを伸ばすことができ、これまで発揮できていなかったスキルが開花するかもしれません。自分に合った配置は、モチベーションを上げ、定着率アップにも良い影響があります。

5 【ピープルアナリティクス活用例4】組織の強化

ピープルアナリティクスは、人材一人一人のアプローチだけでなく、組織活性化へのアプローチも可能です。部署・チームの成果が上がらない時の解決策を見つけることができます。

5-1 社員のエンゲージメントを分析する

エンゲージメントとは、企業への愛着心や満足度のことを言います。社員個々の愛着度を示す時に使われることの多い指標ですが、組織におけるエンゲージメントも存在します。組織に対する信頼や意欲、姿勢など組織に関わる思いが含まれます。

組織に対するエンゲージメントは、企業の業績アップや改善に大きく関わります。部署・チームに配属されている社員のエンゲージメントを図り、チーム全体のエンゲージメントを明らかにすることで、組織のエンゲージメントレベルが分かります。

5-2 組織のパフォーマンスの改善点を探る

ピープルアナリティクスによって、組織の改善点を探ることができます。個々の社員を分析することで、組織のパフォーマンスや傾向が分かります。企画力が弱い、プレゼン能力に不安があるなど、改善点が明確になることで、チームに合った課題提示や適正配置などで、改善を図ることができます。

5-3 職場環境を改善する

仕事のパフォーマンスだけでなく、働きやすい職場づくりにも、ピープルアナリティクスが有効です。行動データなどからモチベーションや思考傾向などを読み取ることで、職場に対する思いが明らかになります。

職場環境が悪い場合は、モチベーションが落ちていたり、マイナス思考が多かったりするなどの傾向が現れるでしょう。コミュニケーションの活性化や体制の改善などの対策をいち早くとることができます。

職場環境の改善は、人材採用・離職率低下に欠かせない対策です。人材は、職場の雰囲気、人間関係を重視する傾向が強まっているため、働きたい企業・働き続けたい企業になることが求められます。

6 ピープルアナリティクスを導入している企業例

ピープルアナリティクスは、アメリカが先進的に取り組んでいたため、日本では、導入され始めているという段階です。重要性がさらに高まっていくと予想されます。既に取り組んでいる企業から、ピープルアナリティクス導入のヒントを得ましょう。

6-1 【組織活性化】Google

Googleは、ピープルアナリティクスの先駆けとなった企業です。ピープルアナリティクスを用いた改革には、組織編成、面接の効率化が挙げられます。

組織編成では、オフィス内の好きな場所で作業をする体制に対して、ピープルアナリティクスを活用し、生産性を測りました。分析の結果、複数人で集まる方が生産性や心理的安心があると分かり、チーム制を採用しました。

自由な働き方がトレンドとなっているため、チームにこだわらない働き方を採用している企業もあるでしょう。必ずしも成果が上がるとは限らないため、自由な働き方とチーム制をしっかり比べる必要があります。

面接の効率化では、数十回に渡って行われていた面接の精度を分析しています。精度が一定の回数で変化しなくなることが分かり、面接回数を大幅に削減しました。採用活動を効率化と合わせて、精度の向上にも成果をあげています。

6-2【人材配置】PERSOL

転職サービス・ドューダなどを提供しているPERSOLでは、ピープルアナリティクスを活用して、適正配置モデルを構築しています。行動特性、能力特性を分析し、どの仕事が合うか、どの配置が最適かを明確にし、適材適所の配置を実現します。

その他にもハイパフォーマー分析や退職予測モデルの構築も行い、分析結果を人材育成や人材確保に役立てています。

6-3【人材採用】日立製作所

日立製作所では、ピープルアナリティクスによるハイパフォーマー分析に取り組んでいます。採用データをまとめた人材ポートフォリオを活用し、ハイパフォーマーを定義し、ハイパフォーマーを増やす人材採用を行います。採用データをはじめとした多角的なデータ分析によって、内定者の質の向上を可能にします。企業とのミスマッチを防ぐことにもつながっています。

6-4【人材採用】ソフトバンク

人材採用の評価にピープルアナリティクスを活用する企業もあります。ソフトバンクは、AIをエントリーシート選考に活用しています。大量のエントリーシートをテクノロジーで効率化し、人の評価ではブレる評価を定量化できます。採用活動の手間を大幅に削減し、人事業務の効率化・活性化を実現しています。

6-5【人材育成】Microsoft

Microsoftでは、社員のキャリアプランに合わせた育成に、ピープルアナリティクスを活用しています。社員の能力に合わせたキャリアサポートや働き方に合わせた社内施策などの実施に分析を役立てています。人材育成における意思決定の質の向上、スピードアップを実現しました

7 まとめ

ピープルアナリティクスは、収集したデータを分析することで人事業務を効率化・活性化することができます。定量化するデータを活用することによって、客観的な意思決定を可能にします。人材採用や組織活性化などあらゆる人事業務へ活用できます。導入している企業を参考にしつつ、自社でもピープルアナリティクスの導入を検討してみましょう。

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