スクラム採用ってなに?メリットと導入企業の声

近年では、人の採用の仕方にもさまざまな変化を遂げています。

従来日本のビジネスシーンでは、当たり前とされてきた、終身雇用制度が崩壊しつつあり、職場でも人の流動が激しくなりつつあります。

皆さんは、いろいろな採用方法があるなかで、「スクラム採用」という言葉を聞いたことはありますでしょうか。

スクラム採用とは、人事担当者だけでなく、全社員が一丸となりで採用活動を行う、社員を主体とした採用の考え方の事を言い、株式会社HERPによってネーミングされた採用に関する概念の事を言います。

株式会社 HERPのホームページでは、次のようにスクラム採用について説明されています。

“スクラム採用とは?

近年、企業と採用候補者の最初の接点が、社員からの紹介・SNS・イベントなど人事部の管轄外で発生するケースが増加しています。スクラム採用とは、この多様化された採用チャネルに対応するために「得意な人が得意な領域を担当する」という考えに基づき、人事部以外の社員もスクラムを組み、採用活動に参加し、採用結果の責任まで負うことで採用効率を高める株式会社HERPが提唱する採用手法です。“

(引用元:株式会社HERPホームページより【スクラム採用 少人数勉強会レポート】「スクラム採用成功」の5つのポイントとは?より一部抜粋) ここではスクラム採用のご紹介やメリット、実際にスクラム採用を導入している企業の声をご紹介していきます。

1、スクラム採用とはなにか?

スクラムとは、ラグビ―の試合などで選手同士が肩を組み円陣になっている様子を思い浮かべる方も多い方お思いますが、まさに採用の場でも同じように全社員一丸となり、採用に取り組もうという考え方の事をいいます。

もともとは、ソフトウェアのアジャイル開発の時に使われ出した手法で、チーム全体が目的達成へと向け、協力し合いながら作業を行います。

スクラム採用も、人事担当者だけが採用業務を行うのではなく、社員全体でより現場サイドに沿った必要な人材を採用しようという考え方です。

スクラム採用は、株式会社HERP社より提言された採用の考え方であり、次の3つの内容について定義されています。

1-1 各組織へ権限移譲

従来の採用方法では、人事部内に採用担当者がおり、求人媒体へ求人広告を掲載、面接日の日程の通知および面接や試験の実施、審査を経て採用という流れになっていました。

近年では、採用方法が、各種求人媒体やエージェントからの紹介、リファラㇽなど多様化しています。

多様化した求人情報をまとめるだけでも多くの時間がかかるため、人事担当者にとっても採用業務は大きな負担となっていました。

また、経営者や人事部に採用権限が集中していまい、現場組織に必要な人材と実際に採用される人物のマッチングが行われておらず、採用されたものの結果として職場と合わなければ、社員にとっても会社にとってもマイナス要因となるでしょう。

スクラム採用では、一点集中型となっていた人事部や経営責任者による採用法ではなく、現場サイドが求める人材を現場組織が主体となって採用活動を行おうというものです。

採用活動の流れを分解して、現場組織に権限を委譲します。

人事の役割はサポートであり、現場が主体となって、採用のプランやマッチングなどを行います。

1-2 採用活動の成果の可視化

採用活動には一連のワークフローがあります。この一連の流れを一部の社員ではなく、全社員にフィードバックし、可視化することで採用活動の成果を皆で共有し、定期的に振り返ろうというものです。

採用活動の成果を可視化することで、現場サイドでPDCAを行うことができ、理想的なマッチングにつながります。

1-3 人事採用担当者は各職場プロジェクトマネージャー

現場主導の採用活動を行いますが、人事担当者はこれをサポートするマネジメントを行う役目をします。

人事部の業務としては、現場サイドが採用活動をするにあたり、必要な情報や知識を提供し、現場が採用活動を行いやすい環境を作っていくマネジメントを担います。

2、スクラム採用を取り入れるメリット

続いて、スクラム採用を取り入れるメリットをご紹介いたします。

従来の採用方法では、職を求めている人が求人媒体に応募するという方法が取られていました。この方法では、職を求めている人と人を求めている企業側とのマッチングのみでした。

最近の採用方法を見てみますと、リファラル採用やSNSなど様々な採用チャネルがあり、多様化採用方法では、より現場にマッチングした人材が採用される反面、人事部の採用業務は膨大になります。

現場サイドに採用の権限を委譲することで、採用活動の効率化やその組織にあった人材が来ることになり、採用活動の効率化と採用力が上がることを意味します。

2-1 多角的な採用活動が可能

少子高齢化により労働人口が減少していること、働き方改革で注目を集めているテレワークを導入する企業が増えてくるなど、多種多様な働き方に取り組む企業が増えてきていると言えるでしょう。

採用活動についても、従来から取り入れられている求人広告やハローワークをはじめ、WEB求人広告やSNSなどネットを使用した採用方法へ広がり、さらにはリファラル採用や社員紹介など拡大しつつあります。

スクラム採用は、従来の採用方法と違う一番の大きな点は、いろいろな種類の採用方法を駆使し、採用担当者という“点”ではなく社員全体という“面”で採用を取り組んでいこうと言う考えで、より職場に欲しい人材を求められる事です。

企業の中にはいろいろな職種があり、求める人材も多岐に渡ります。採用チャネルが広がることで、採用の力が上がることになります。

ここではさまざまな採用方法のメリットデメリットについても見ていきましょう。多種類の採用方法を組み合わせることで、よりマッチした人材の獲得につながります。

社員全体で採用活動を行うことで、採用担当者だけでは見えてこなかった、市場での求職状況が見てくるというメリットがあります。

採用方法は下記のように、たくさんの種類があります。

それぞれメリットデメリットがあり、市場の流れによって複数の採用チャネルを持つことは、よりマッチした人材獲得につながることになると言えるでしょう。

1、新聞チラシなどペーパーによる求人広告

  メリット :①地域に密着した人材が集まる。

  デメリット:①広告掲載するには、広告会社との打ち合わせが必要。

        ②掲載に時間がかかる。

        ③掲載紙面が少ない、掲載している期間が短い。

2、Web求人広告

  メリット :①掲載面が多く、必要な情報を乗せることができる。

       :②広い範囲の地域から人材を集めることができる。

        ③検索方法が多彩であり、条件に合致した求人が可能。

  デメリット:①不特定多数の応募があった場合、選考に手間がかかる。

3、ハローワーク

  メリット :①費用負担がほとんどない。

        ②地域に密着した求人案内が出せる

  デメリット:①求人広告を出すためにはハローワークに出向く必要があり、手間である。

        ②掲載する企業が多い場合、張り出し期間が短期になり、求職
者の目に止まりにくい

3、SNS求人広告

  メリット :Twitterなどに求人情報を投稿することで、SNS経由でWEB求人サイトへアクセスする流れとなり、短時間のうちに求人を集めることが可能。

  デメリット:職を求めている人が、求人サイトSNSをフォローしてもらうことが必要で、あまり求人情報が頻繁だと、フォローを外されてしまったり、情報が埋もれてしまうこともある。

4、リファラル採用

  メリット :①自社社員からの紹介であるため、職場環境や風土などを熟知しており、職場と紹介者との間にミスマッチが起こりにくい。

        ②紹介料程度や謝礼程度で、費用負担があまり掛からない、

デメリット:①縁故採用などと異なり、紹介という形になるので、不採用という結果になることもある。その場合、紹介者と社員との元の関係に溝が入ることもある。

      ②社員の思考や考え方が似たような方が集まることとなり、会社の社風が偏りがちになる。

・2-2 現場サイドにマッチした人材が集まる

スクラム採用では、現場に採用の権限を移そうという考えがあります。

現場の社員が、自分が一緒に働きたいと思う人材をリサーチしてくることで、

より自分の職場に合った人を紹介することが出来るようになります。

転職活動も市場の変化によって、常に新しい流れとなっています。現場で働く社員が自ら同じ場で働く人を探す事ことになる訳ですから、どういった採用方法で、どのような人物を紹介するのか真剣に考えることになります。

こうして、自分の社風や環境に合った人物を紹介することになるため、現場組織と紹介者とのミスマッチも少なく、また定着率も上がることになります。

定着率が上がれば、採用にかける時間やコストがなくなり、より安定した職場環境へとつながるでしょう。

・2-3 社員の愛社精神が増す

社員が同じ職場で働く同僚や後輩を探そうとするとき、まずは自社のアピールをすることになるでしょう。自社や自分の仕事を知ってもらうには、自分の会社についてまず社員自身がよく知らなければ、人に紹介することは難しいでしょう。

採用活動に参加することで、社員自身が自分の会社についてよく知るようになり、自分が手掛けている仕事に誇りを持つことになります。

自分の会社の魅力を他の人に伝えることで、自分の会社や仕事への愛着が沸き、仕事への意欲が出てくる、さらに採用活動を自ら行うことで、会社のアピールにもつながり、人が集まりやすくなると言う相乗効果となり、ひいては採用力のアップにもつながるのです。

2-4 人事担当者が採用戦略や人材開発などの業務へシフト

人事担当者が一点集中で行っていた採用ワークフローを、分割して現場サイドが主導で採用活動を取り組むことで、人事担当者への負担が減りました。

人事担当者はその減った時間を、次の人事戦略や在籍人員の教育や育成などの時間に当てることができます。

また、空いた時間で市場調査や情報収集などを行うことや、マネジメント業務へ集中することができるようになります。

3、スクラム採用を取り入れるポイント

スクラム採用を取り入れた際のメリットをご紹介してきました。

では、スクラム採用を取り入れようと検討している場合、どんなことに注意すればいいのでしょうか。スクラム採用を問い入れる際のポイントや注意点について見てみましょう。

・3-1 自社に向いているか十分に検討する

スクラム採用は、社員全体で自社に合った人材を採用しようという目標があります。

近年、採用方法は多岐に渡り、それぞれの採用方法にメリットデメリットがあることはすでに述べました。

スクラム採用は現場のチーム単位で採用活動を行うため、あまり組織規模やチームが大きすぎると、情報管理が難しくなり、社員全員まで情報が回りにくくなります。

また、世代によっては、こうした新しい方法に抵抗があることもあり、導入前に十分な話し合いを行うことと、チーム単位の明確にしましょう。

・3-2 経営陣が責任を持ち、意義を全社に浸透させる

採用の権限を現場に移すといっても、全責任まで現場に押し付けてしまっては、現場にとっては大きな負担になってしまいます。

まずは経営陣がスクラム採用導入にあたり責任と目標を持ち、現場にマッチした人材を、現場主体で見つけていくことの意味や実際の取り組み方を、時間をかけて意義を浸透させていく必要があります。

・3-3 各役割分担を明確にする

今まで、採用担当者に集中していました。こうした採用ワークフローを分解し、各職場のチーム単位でそれぞれの採用活動の担当を明確化します。

計画を立てること、それをもとに実際に採用活動を行うこと、活動内容のチェックや改善することなどを、それぞれの分野が責任をもって取り組めるようにします。

・3-4 採用情報を共有し、オープンにする

採用活動を組織やチームで行う場合、情報が共有化されていないことが問題でした。

候補者の情報や、評価などを一元管理し、全体でフィードバックすることで、より良い採用活動につながっていきます。

・3-5 現場社員が採用活動を行いやすい仕組みを作る

現場の社員が実際に採用活動を行う時に、少しハードルが高い場合があります。

そのような時は、掲げる目標や計画を達成しやすいよう少し下げる必要も出てくるでしょう。

人事は、現場の社員が採用活動を行いやすいよう、サポートを行い、現場の採用活動が行いやすい環境をつくりましょう。

4、スクラム採用を導入している企業の声

スクラム採用は最近出始めた比較的新しい採用についての考え方です。

以下スクラム採用を導入、実績を

・4-1 ヘイ株式会社

誰でも簡単に使える決済サービスやオンライン運営サービスを手掛けている会社で、ソフトウェアやプラットフォーム開発を手掛けています。

ヘイ株式会社では、採用にマーケティング思考を取り入れています。採用業務に関して、人事と現場の役割と明確にしており、それぞれの組織が責任を持って行うことモットーとしています。

人事の役割や選考の段階までで、その後の求める人材の要件や意思決定については、現場へ権限を移すと言う形式を徹底しています。

社員が採用業務に積極的にかかわれる職場環境づくりや、いい会社である風土づくりにも力を注いでいます。

・4―2 株式会社 PR Table

会社にある「ちょっとしたいい話」をストーリとしてPRする会社です。会社のコンセプトやエピソードなどを伝えるストーリーテーリングサービスの運営サービスを行っています。

同社では、採用候補者の情報管理を一元管理し、現場へフィードバックするソフトウェアを導入し、社員が採用活動に参加しやすい環境を作っています。

また社員紹介によるリファラル採用を積極的に取り入れることで、社員のエンゲージメントも向上し、より広報効果もあがり社員の意欲の向上にもつながっています。

5、まとめ

いかがでしたでしょうか。

スクラム採用の考え方やメリット、導入にあたり注意するポイントについてご紹介してきました。

多様化する採用活動の中で、社員主体となり、チームで採用活動を行うという従来の採用方法とは全く異なる採用方法が現れはじめ、注目を集めています。

導入を成功させるには、現場への採用権限の移譲、成果の可視化、採用担当のプロジェクトマネージャーの3つの事項について行う必要があります。

今後ますます、少子高齢化による働き手の減少がし続けている状況です。

転職活動が活発になり人の流通が激しなることで、採用活動はますます複雑になっていくでしょう。

その中で、より自社にマッチした人材を採用し、定着させていくことが会社への未来にもつながると言えるでしょう。

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