優秀な人材を確保しよう!辞める理由や辞めないための対策をご紹介

「幹部候補として指導していたのに…」「将来のエースとして期待していたのに…」と、優秀な人材の退職に落胆している企業が多いかもしれません。時代による人材の特性の変化や新しい働き方の登場などによって、優秀な人材ほど活躍できる場所を求め、辞める傾向があると言えます。

とはいえ、優秀な人材が辞めてしまうのは、企業にとって大きな損失です。優秀な人材を確保することで、企業の発展を実現する可能性も高くなります。今回は、優秀な人材を辞めさせない方法について解説していきます。

1 優秀な人材が辞めるデメリット

企業にとって、どの人材が辞めてしまっても、少なからず影響が出てしまいます。例えば、人員が足りない、担当が不在になる、他の社員の負担が増えるなどが挙げられるでしょう。社員の中でも、優秀な人材が辞めると、より大きな影響があります。優秀な人材を確保する重要性を改めて確認していきましょう。

1-1 エースが抜けて仕事の効率が落ちる

優秀な人材は、プロジェクトや日々の業務を着実にこなし、引っ張っていく存在です。難しい仕事を遂行する力を持っていたり、先回りして仕事を進めたりするなど、企業活動を支える様々な優秀な人材が企業にいるでしょう。

エースとも言える優秀な人材が辞めると、優秀な人材が担当していた仕事だけでなく、企業での役割を果たす人間がいなくなってしまいます。単純に仕事量が増えるのではなく、スキルを失うため、大幅な戦力ダウンが起こり、仕事の効率が落ちることが考えられます。

1-2 退職が連鎖する可能性がある

優秀な人材の退職は、さらなる退職に連鎖する可能性があります。優秀な人材には、上司だけでなく、同僚や部下も信頼を寄せているでしょう。信頼している人の決断には、周りの社員も影響を受けやすいです。特に退職を考えている社員にとっては、一つの退職がきっかけとなります。

すぐに連鎖退職が起きない場合でも、優秀な人材の退職による業務のしわ寄せや職場環境の変化によって、モチベーション低下を引き起こすかもしれません。徐々に退職に気持ちが傾き、長期的な連鎖を起こす可能性があります。

1-3 人材採用・人材育成の手間・労力が必要

優秀な人材の穴を埋めるためには、若手社員の育成や即戦力の獲得が必要になります。ただ現状、人材採用は厳しい局面を迎えています。求職者優位の人材獲得競争、早期離職率の上昇による育成の難しさなど、優秀な人材の確保には、人材採用・人材育成の手間・労力が非常に大きいです。

人材採用や人材育成には、コストもかかります。担当する人材を新たに配置する必要もあり、本来の業務に支障がでることもあるでしょう。優秀な人材が辞めることは、一人の社員が抜けるよりも、影響力が強いと言えます。

2 優秀な人材が辞める理由

優秀な人材には、多くの仕事や役割を与え、評価しているとすれば、なぜ辞めてしまうのでしょうか。優秀な人材それぞれの考えももちろんありますが、ここでは優秀な人材に対する企業側の問題点に注目しましょう。優秀な人材の悩みに寄り添っていないことが、原因かもしれません。

2-1 仕事と評価が伴っていない

優秀な人材の例として、与えられた仕事をしっかりこなすだけでなく、プラスアルファの工夫や気遣いなどもできるとしましょう。与えた仕事内容にだけ評価したとすると、プラスアルファの部分が評価されないことになります。

優秀な社員にとっては、プラスアルファへかけた時間や労力が評価されず、不満がたまったり、やりがいを失ったりして、結果退職につながってしまうこともあるでしょう。優秀であるが故に、高度な仕事ぶりを当たり前と捉えられ、仕事と評価が伴わないことが考えられます。

2-2 スキルを発揮できる裁量が認められていない

資格や業務経験などスキルを持っている社員は、企業にとって貴重な人材です。ただスキルは持っているだけでは、発揮されません。スキルを発揮できる裁量が認められていないと、優秀な人材はスキルを発揮できる場所を求めて、退職を考えてしまうでしょう。

スキルを発揮できない状況としては、上司が絶対的な権限を持っている、現場に意見が取り入れられない企業風土などが挙げられます。現在、多くのビジネスパーソンがスキルアップや自己実現を求めている傾向があります。人材を活躍させる組織づくりが欠かせません。

2-3 キャリアアップやスキルアップをイメージできない

優秀な人材に限らず、転職者の転職理由や退職理由には、仕事の幅を広げたい、成長できるイメージが持てないという声が多くあるという調査があります。企業に、キャリアアップやスキルアップを促す環境が整っていなかったり、機会が整備されていなかったりすると、退職を考えるきっかけとなると言えるでしょう。

会社の将来に不安を感じるという意見も多くあり、明確なビジョンや方向性を示せていない場合も、退職を促す可能性があります。

2-4 労働環境や人間関係に不満がある

労働環境や人間関係も、優秀な人材を含む多くのビジネスパーソンが重視する項目です。好ましくない労働環境としては、残業や休日出勤の常態化などが挙げられます。優秀な人材に、仕事を任せがちになり、負担が増えている場合は要注意です。ワークライフバランスの考え方が広がっていることもあり、生活と仕事を両立できる労働環境づくりが求められます。

人間関係において、優秀な人材に注目すると、上司との方向性の不一致や同僚、部下とのギャップなどが考えられるでしょう。他の社員からは、不公平感を感じる対象となりやすく、上司と考えがぶつかることもあるかもしれません。仕事の配分や日頃からのコミュニケーションでのフォローが必要になります。

3 優秀な人材が辞める理由を徹底的に調査しよう

優秀な人材と一口に言っても、企業の求める人材像や見方によって異なるため、定義することはできません。定義できないからこそ、自社において、なぜ優秀な人材が辞めてしまうのかを徹底的に調査する必要があります。退職理由に合った対策ができなければ、優秀な人材の退職を防ぐ効果は薄いでしょう。

3-1 間に合わせの対策は効果が期待できない

優秀な人材の退職が起こった時には、退職理由をしっかり分析することが必要です。現代では、働き方改革が叫ばれていることもあり、適正な労働時間や福利厚生の充実などに目が向きがちでしょう。労働環境を整えることも大切ですが、退職理由の反映されていない間に合わせの対策は効果がでないかもしれません。

優秀な人材の退職が定期的に続いているという場合は、労働環境以外に理由があると考えることができます。評価や成長の機会、人間関係などから、退職者の傾向を明らかにすることが求められます。

3-2 従業員サーベイの実施

従業員サーベイとは、従業員の満足度などを図る調査のことを言います。従業員が企業に対してどのように感じているかがわかるため、従業員個人の思いがわかるだけでなく、組織の問題点も浮き彫りになる効果があります。

パルスサーベイと呼ばれる定期的な調査を行うことで、データの蓄積も可能です。退職者の傾向の分析も可能にし、なぜ退職するのかを明らかにできる可能性があります。

3-3 退職予測モデルの設定

人材サービスを提供するパーソルなどでは、退職予測モデルの設定を取り入れています。退職者を含む社員情報から、退職者の傾向を明らかにし、退職しやすい人材像を仮定するという取り組みです。

優秀な人材が辞めてしまってから対策をするのではなく、退職予測モデルを参考に、離職対策を打つことができます。退職予測モデルに合わせて、労働時間の改善や評価制度の見直しをすることで、将来的な優秀な人材の退職を防ぐ効果を期待できます。

4 優秀な人材の働きを正当に評価しよう

優秀な人材に関わらず、仕事と評価が噛み合うことが不可欠です。優秀な人材は特に、与えられた仕事以上に貢献していることもあり、働きに対してしっかりと評価することが求められます。優秀な人材を辞めさせない人材評価を行いましょう。

4-1 功績に対して客観的な評価を正当に行う

功績に対しては、客観的な評価を行うことが欠かせません。評価する上司とコミュニケーションが取れていない場合は、見えている部分だけの直観的な評価になることも考えられます。コミュニケーションをもとにした評価の共有の場が必要です。

また上司だけでなく、同僚や部下も評価に加わる360度評価も効果を期待できます。上司に見えない部分も評価に含まれるため、より客観的な評価が実現されるでしょう。

クラウドサービスなどツールを使った評価もおすすめです。数値によって、評価が行われ、評価のブレが少なくなります。運用方法の共有を行う必要がありますが、現在評価に取り入れられつつあります。

4-2 評価を昇格・昇給に結びつける

適切な評価を昇格・昇給に結びつけることも大切です。キャリアアップやスキルアップを実現でき、優秀な人材が企業にとどまるきっかけをつくることができるでしょう。

退職・転職を考える人材の多くは、報酬に不満があるという本音を持っているとされています。評価をキャリアや昇給でしっかりと表現しましょう。

4-3 コミュニケーションによる評価も大切

形に見える評価も必要ですが、優秀な人材とのコミュニケーションによる評価も必要です。優秀であるほど、一人でできることも多く、手がかからないこともあるでしょう。コミュニケーションなく働いていると、ある日突然退職するということもあるかもしれません。

優秀な人材にとっては、突然の退職ではないでしょう。仕事や功績に対して、直接評価を伝えることで、達成感や喜びを感じ、成長するビジョンをイメージすることややりがいを感じることを期待できます。

5 優秀な人材に活躍の場を与えよう

優秀な人材であるほど、モチベーションが高く、活躍したい、スキルアップしたいと考える傾向があります。活躍できる場がなければ、活躍できる場所を求めて退職を考えるでしょう。自社の状況をイメージしながら、優秀な人材を生かす環境を整えていきましょう。

5-1 優秀な人材の意見を取り入れる

多くの企業が意思決定において、トップダウン方式を採用しています。経営者や管理職が意思決定を担い、現場の意見が取り入れられていないこともあるでしょう。優秀な人材の中には、新しいアイディアを持っている社員もいるはずです。

意見を活用できていない場合には、優秀な人材をはじめとした現場の意見を活用するボトムアップ方式を検討しましょう。自分の意見が企業に影響を与えることを実感でき、従業員全体に経営視点が生まれるでしょう。活躍の場ができることで、自分自身の成長や会社の将来をイメージしやすくなります。

5-2 リーダーなど役割を与える

優秀な人材がスキルを発揮する方法として、プロジェクトリーダーなど役割を持たせることも効果的です。プロジェクトの進行や決定権といった裁量を持たせることで、自分のスキルを発揮することができます。

スキルアップや自分の考えの表現を実現でき、やりがいを得ることができるでしょう。上司はフォローを行い、活躍できる場をしっかり整えることに力を注ぐと、優秀な人材をさらに育てることが可能です。

5-3 勉強会などスキルアップの機会を作る

スキルアップをしたい、身につけたいと考える社員に対して、企業自ら機会を設定することが求められます。研修や勉強会などを開催することで、優秀な人材のニーズに答え、成長を促すことができます。資格受験に対する補助など福利厚生面でのサポートも効果的です。

6 優秀な人材とコミュニケーションを密にとろう

サポートが必要な人材に対しては、コミュニケーションを密にとる場合がほとんどでしょう。優秀な人材ほど、業務面で自立しているため、コミュニケーションがおろそかになっている可能性があります。人材それぞれに悩みがあるように、優秀な人材にも悩みがあるはずです。コミュニケーションから悩みを引き出し、退職を事前に防ぎましょう。

6-1 定期的に面談を行う

1年に数回の面談ではなく、週に1回や月に1回など定期的に面談を行いましょう。年に数回の面談では、その時その時の思いに気づくことができず、人材に対するフォローも後手になってしまいます。

定期的に面談をすることで、優秀な人材が持つ不満や願いを共有することができます。仕事量や仕事内容、人間関係などの悩みに気づくことで、退職を考える前に対策を練ることが可能になります。

上司と人材が1対1で行う1on1面談やミーティングなどが方法にあります。業務上、一人一人の面談が難しい場合は、ビジネス向けのチャットツールを使うのも方法の一つです。できるだけ直接対話する機会をつくり、優秀な人材を含めた社員の意見を汲み取るようにしましょう。

6-2 社内の人間関係を改善する

上司と人材とのコミュニケーションだけでなく、社内全体のコミュニケーションや人間関係も改善する必要があります。職場の雰囲気は、人材が会社に求める条件の上位を占める要素であり、気持ちよく働けることは、優秀な人材の確保に欠かせません。

日頃のコミュニケーションを意識するだけでなく、コミュニケーションをとりやすい環境も必要でしょう。コミュニケーションスペースの設置、デスクの配置などを検討することで、風通しの良い職場づくりを期待できます。

7 まとめ

働き方が多様化している現代では、優秀な人材は活躍できる場所へと移っていく傾向があります。優秀な人材を退職させないためには、これまでの退職者の傾向を把握すること、適切な評価をすること、活躍の場を与えること、コミュニケーションなどが必要と考えられます。自社で優秀な人材の流出が繰り返されている場合は、退職理由を分析した上で、離職防止策を実施しましょう。

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