女性採用に向けた取り組みとは?女性を採用する際のメリットと事例を紹介

近年において社内活性化という意味を込めて、多種多様性をもった人材採用が増えてきています。その中でも今注目を浴びているのが、女性の積極的な正社員への採用です。実際に女性登用はどの企業においても増えてきていますが、果たしてどのようなメリットがあるのでしょうか?

そこで今回は、女性を採用した際のメリットを紹介しつつ、女性採用促進のためにすべき取り組みを紹介していきます。

 

1.女性の採用促進が必要な理由とは

女性を積極的に採用していこうという取り組みが増えてきていますが、そもそもなぜ女性の採用促進を行うようになってきたのでしょうか?そこには時代の変化に基づいた明確な理由が存在しました。

まずは、女性の採用が活発になった理由について見ていきましょう。

高齢化社会による人口減少

高齢化社会によって全体の平均年齢が上がっている一方で、日本の人口は減少傾向にあります。国立社会保障・人口問題研究所が出したデータを見ると、2015年には日本の総人口が1億2,709万人であると発表していますが、2040年には1億1,092万人になってしまうと発表したのです。

また2053年には9,924万人という予想結果をだしていて、著しく減少していくのが分かっています。人口減少と共に働く人の人数は減っていくので、これまでのような男性主体のままでは人員不足により企業の経営が厳しくなるため、必然的に女性の積極採用が求められるようになってきたのです。

働く女性の増加

夫の給料が低い、晩婚化、将来の貯金のためなどの理由で働く女性が増えてきています。働くことに生きがいを感じている女性も、近年増え続けているので必然的に、働く女性を積極的に採用しようと考える企業が増えてきたのです。

多様性な働き方による環境の変化

近年では多様性をもった働き方が増えてきています。在宅での場所を問わないテレワークや、他との兼業をすることができる副業など、働き方改革による変革が起こっているのです。今まで家でできなかった仕事も行うことができるようになり、女性を採用しようという積極的な活動が増えてきました。

女性活躍推進法の導入

2016年に政府によって発表された「女性活躍推進法」を定めました。内容としては、「女性でも活躍できる場所を提供する」ことを事業主に対して義務化する、と言った内容です。この導入により、企業は女性を積極的に採用していくようになり、女性が活躍できるようにしていきました。

女性活躍推進法の背景には、女性の就職面での改善が不十分であったため導入された、という背景があります。女性の就業に関する法律は、年数を重ねていくごとに新しく制定されていましたが、大きな改善までには至っていませんでした。そのため女性が活躍できる環境を作ろうと、女性活躍推進法が制定されたのです。

2.女性採用に至らなかった理由

ではなぜ今まで女性を採用するのに、企業は積極的な活動をしてこなかったのでしょうか?ここでは過去、女性を採用することで考えられていたデメリットについて解説していきます。

過去からの先入観

かつての日本では男性が働き、女性は専業主婦であることが一般的で、戦後に女性の社会進出を進める施策も打たれましたが、強固な男性優性のビジネスが長く続いていたため、現実的には進みませんでした。
現在もその考えは完全には払しょくされず、日本の社会保障制度の基準では配偶者控除の給与収入の上限設定は「夫は働き、妻は専業主婦、仮に主婦が仕事をするとしても控除が受けられる範囲のパートのみ」を標準世帯としています。
おのずと企業もその基準を守らざるを得ないので、女性採用が進まない要因の一つとなっています。

また、人材戦力に関わる管理職・経営者層の中では、長年の背景から潜在的に女性は家庭に入るものという意識が働き、「女性はすぐ辞める」「仕事に対する責任感が薄い」などの声も聞かれます。これは先入観によるもので、男性と同じように育てているつもりでも、無意識にその先入観が働き同じような待遇ができていない場合もあります。

産休・育休後の復帰がしづらい

女性はライフイベントにより子どもを授かる人もいます。そうなると産休や育休を取っていくわけですが、企業としては長期の休暇は痛手となるので、そのまま退職扱いになってしまう事例が後を絶ちませんでした。そのため、最初から女性を採用することを拒む企業も多いのが実情でした。さらには働く女性側としても、復帰後の業務内容が変更されていることもあり、以前の部署には戻れなかったりと復帰するのに困難を極めました。

さらには「そのうち辞めるんでしょう?」という空気を無意識に作ってしまい、労働意欲を損なわせてしまうのも1つの理由です。育休や産休はどうしても時間がかかってしまいます。待っているより、新しい人材を採用して空気を変えていこうと企業も多く存在しました。

男女社員における不平等

男女においての不平等な勤務体制やキャリア形成が目立つことから、女性を積極的に採用できないという意見もありました。女性に対して仕事を遅くまで強要することは難しく、男性に仕事を任せることが増えてきますが、それによるジレンマが男性側に発生してしまうのです。

さらには女性が管理職に就くことが珍しく、現在でも女性を役職につけることを懸念する企業も少なくありません。このような男女に対する不平等さが起こったことにより、女性を積極的に採用しようという考えに至らなかったのです。

3.女性を採用することのメリット

今までは女性を採用することで上記のようなデメリットが生じてしまうと考えられていました。しかし近年では、働き方改革や女性活躍推進法によって女性を採用することの意味合いも変わってきたのです。

では女性を積極的に採用した場合、どのようなメリットがあるのでしょうか? 女性を採用した場合のメリットを 順番に 見ていきましょう。

企業の新しい改革

女性を活躍させようという取り組みは、企業にとっても大きな改革へと繋がっていきます。日本の企業のほとんどは男性を中心とした企業がほとんどでしたが、近年では女性の活躍を期待して社会進出に向けての取り組みが実施されているのです。

女性が社会進出をしていくにあたって重要なのは、働きやすい環境であるかどうかが重要になります。これらを浸透させていくためには、企業だけでなく社員の意識変革を行っていく必要があるのです。時代に見合った変革を起こしていくことが、今後の企業繁栄へと繋がっていくことでしょう。

企業価値の向上・イメージアップ

女性を積極的に採用することで、世間からの評価が上がり企業としての価値が向上していきます。なぜなら女性を積極的に採用し働ける環境が整っているという証明にもなり、働く側だけでなく消費者側としても、印象が変わってくるからです。

企業価値が上がれば、必然的に自社の商品の売り上げにも貢献することとなり、更なる付加価値をつけることにも繋がります。これからさらに好感を持たれる企業になるためには、積極的な女性採用を推進していくと良いでしょう。

仕事内容の全体的な改善

ほとんどの企業において、役職をもった人と言うのは男性ばかりとなっています。しかし男性では気づきにくい問題点を解決できるのが女性です。仕事において何より重要なのは、新しいものの見方や今までの商品に対する改善になります。

例えば、女性が中心に買うことが多い商品を開発することになったとします。その場合、男性社員よりも女性ならではの考えや視点を持っている女性社員に任せることで、より売り上げに繋がりやすい商品ができあがります。

新商品開発の分野でも新たな視点は重要ですが、既存商品の改善にも女性が活躍してくれます。男性主体では偏りがみられ顧客満足までには至らない場合もあり、女性を採用することで全体的な改善が見込めるのです。

また産休、育休の制度は日本ではまだまだ偏りがあります。特に育休の問題では、女性が取るのもといった考えが萬栄しています。たとえ企業が、男性が育休をとれる制度をつくったとしても、事例がなければ周りの目を気にし本人はとりにくくまります。当事者本人が取ろうとしない場合、会社からの働きかけも必要です。性別で分けるのではなく子育て世代平等に付与されるべきものであり、女性だけに家庭的負担が多い社会では今後の発展は見込めないでしょう。
そのような働きかけを行うことで、次第に男女間での差別がなくなり

優秀な人材の確保

積極的な女性採用を促進する企業は、優秀な人材が確保できる傾向にあります。なぜなら女性は、働きやすさに重きをおいて仕事を選ぶ必要があるためです。働きやすい環境は個人により異なりますが、大まかに分けるとキャリア志向とワークライフバランス志向があります。

キャリア志向では女性管理職の前例・実績の有無。ワークライフバランス志向では、育児休暇や産休などが実際にとれている環境でなければなりません。ライフイベントにより、キャリアを継続し続けることが難しくなってしまった女性の中でも、優秀な人材は存在し、環境が整って初めてその力を発揮できるものです。

優秀な人材を確保していくためには、「働きやすい環境」を作っておくことが大切です。すべての従業員が働きやすいと感じていることで、仕事のやりやすさを感じるようになり、新たな求人流入も見込めるため、まだ見つかっていない優秀な人材を確保していくことに繋がっていきます。

人材の多様化によるグローバル化

近年において日本はグローバル化が進み、企業経営においても注目すべきポイントとなってきました。グローバル化が進んでいる中で対応が追いつけるかが企業において重要となり、組織の一員として対応できる人材を確保しておくことが大切です。

男性社員ばかりを登用していた組織体制を改善し、女性採用を積極的なものにしていったら、幅広い人材確保に着手することができます。女性に留まらず多種多様な人材を確保していくことで持続的な企業発展へと繋がっていくのです。

4.女性採用を促進するための取り組み

では女性を採用していくための取り組みとしては、具体的にどのようなことが行われているのでしょうか?ここでは実際に行っている取り組みについて解説していきます。

えるぼし認定

えるぼし認定とは、女性活躍推進法に基づいて作られた認定制度になります。女性が活躍できる環境を作り続けている企業を対象に、厚生労働省が認定することもあり、多くの企業から注目を浴び続けているものです。

【評価項目】

・採用

・継続就業

・労働時間の働き方

・管理職比率

・多様なキャリアコース

これらを見ていく中で、女性が活躍しやすい取り組みをしているかを判断していきます。

両立支援等助成金の支給

両立支援等助成金とは、女性の活躍のための推進活動をしていき、一定の条件が満たされているなら支給を受けることができる助成金になります。返済の義務もないので、女性の採用活動を積極的に取り入れていこうと考えている企業は、導入してみても損はないでしょう。

ただし従業員数が300人以上か未満化によって受けられる金額が違い、要件の厳しさも変化するので注意が必要です。

テレワークや副業など多様性のある働き方を導入

新しい働き方として多種多様な取り組みを実施していくことも、女性採用の促進に繋がっていきます。子育て世代には、子どもの世話などで早めに帰らなくてはいけないことがあります。その場合テレワークを実施していくことで、家事をしながらも仕事をしていくことが可能です。

他にも副業などの違う収入源をもたせることで、将来への不安をかき消していくことができます。導入に至っていない企業は多いですが、女性採用を実施していこうと考えている企業は積極的に導入すべき働き方と言えるでしょう。

働き方改革による短時間勤務

働き方改革によって、余計な残業時間を減らす取り組みが行われるようになりました。その背景には生産性向上との両立が含まれているのですが、何より社員の仕事に対するモチベーションアップの意味も含まれていたのです。

女性も同様で、仕事が終わった後も家事や育児などをしなくてはいけない方にとっては、短時間勤務はありがたいこととなります。その分給料が下がってしまうこともありますが、キャリアを継続しながらライフワークも大切にできる勤務形態は現代のステータスでなければいけません。

働きたいと思える環境整備

女性が働きにくいと感じてしまう環境だと、せっかくの女性採用活動を積極的に行ったとしても、定着率が下がってしまいます。何よりまずは、女性が働きやすい環境を整備することが、企業にとって何より重要な取り組みとなってくるのです。

何より企業側が「働いてほしい」と思うのではなく、女性従業員側から「ここで働きたい」と思わせることが重要となります。そのためには今の環境を改善し、性別問わず社員全体で「ここで働いていてよかった」と思ってもらうことで、企業はより生産性向上をあげていくことが可能となっていくのです。

5.女性を積極的に採用している企業例

では実際に女性を積極的に採用している企業とは、どのような取り組みを行っているのでしょうか?ここでは女性採用促進を推奨している企業の事例を紹介していきます。

カルビー株式会社

カルビー株式会社は、何より女性の活躍を重要視しており「女性の活躍なくして今のカルビーはない」と松本会長自らが宣言しているほどとなっています。女性の採用を積極的なものとし、女性の活躍推進に対して優先的な活動を見せているほどです。

女性の悩みの中で多い、仕事と家庭の両立に関しては、在宅勤務制度を導入し営業、事務を中心に活用し、女性だけではなく男性も利用可能にしました。他にも早朝時間を利用した効率的な働き方の提案や、短時間勤務をして残業代を減らす取り組みなどを行っているので、今後とも注目すべき企業と言えるでしょう。

東レ株式会社

育児休業制度が制定されて以来、女性の管理職登用を積極的に行ってきた同社。並行して女性の採用促進活動や女性が働きやすい環境整備に取り組んでいます。さらには「女性推進プロジェクト」という取り組みを発足し、女性管理職比率が年々上昇するという結果を得ることに成功しました。

他にも「ワークライフバランス労使委員会」を立ち上げ、育児や産休、介護における支援を実施するようになっていきました。他にも働き方の多様化ということで、在宅勤務を推奨していく取り組みを実行し続けているのです。

株式会社IHI

優秀な女性社員を採用してくことを目標としたIHIでは、女性管理職比率の向上に専念しています。他にも採用だけでなく、活躍しやすい環境整備に力を注ぎ、企業風土の変革が新たな課題であると捉えているのです。

また女性がキャリア形成を構築しやすいように、管理職に対しての講演会や研修会を行い、モチベーションアップにも繋げています。さらには仕事と家庭の両立面でも、育児や介護のための休暇サポートや一時退職した後の再雇用、などの体制が整っているのも1つの特徴です。

日産自動車株式会社

日産自動車は、女性のキャリア形成や能力開発などを積極的に行いつつ、女性従業員が活躍していくための支援も行っています。さらには女性管理職比率の向上を図っており、将来性を見せていくことにも力を注いでいるのです。

何より特徴的なのが、社員1人1人が活躍できる環境整備に取り組んでいます。在宅勤務などの取り組みも行ってきているので、育児や介護などの障害を積極的な環境整備によって、取り払うことができていると言えるでしょう。

6.まとめ

昔は女性を採用することは、デメリットでしかないと捉えられていました。しかし今は働き方改革などによって女性が活躍できる場所が増えてきており、それに呼応して優秀な女性社員が増えてきているのです。

また女性を積極的に採用していく企業は、周りからの注目度も大きく変わっていくことでしょう。企業にとってもプラスになりうる女性の採用を、今後の新たな取り組みとして取り入れてみてはいかがでしょうか。

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