若手社員を早期戦力化しよう!上司の働きかけや教育方法、事例を解説

企業の発展のためには、新卒社員や若手社員の活躍が欠かせません。既存の社員が、中堅社員、ベテラン社員、管理職などと変化したり、異動や転職などで人材が入れ替わったりする中で、企業のこれからを作る存在が、若手社員です。

じっくり育てたいと考える反面、人材不足や人材獲得競争といった企業の置かれる状況を考慮すると、できるだけ早く若手社員を戦力に育てたいというのが本音でしょう。

今回は、若手社員を早期戦力化するために、何を教えるべきか、どのように教えるべきかを解説していきます。現代の若手社員の特徴や早期育成の効果にも触れるため、若手社員の早期育成の大切さも実感していきましょう。

 

1.現代の若手社員の傾向を捉えよう

現在若手社員を育てる立場である中堅社員やベテラン社員が若手だった頃と、現代の若手社員の傾向は大きく異なります。

経済的な報酬を求めるのか、企業でキャリアアップしていきたいのかなど仕事に求める部分が変化しています。また働き方についても、企業にとどまらない働き方も多くあり、これまでの終身雇用や残業、年功序列などの慣習の捉え方に対して、若手社員とずれも出てくるでしょう。

他にも育ってきた環境の違いから、仕事の取り組み方、思考、精神面にも特徴があります。まず現代の若手社員の傾向を捉えることから始め、早期育成に生かしていきましょう。

1-1 働く目的は「楽しい生活をしたい」から

平成25年の厚生労働白書「若者の意識を探る」では、若者がどのように仕事を捉えているかを明らかにしています。

働く目的に関するデータは、「経済的に豊かな生活を送りたい」とする若者が約25%、「楽しい生活をしたい」と考える若者が約40%に推移しています。これまでは比較的近い数値で推移していましたが、2001年から差が広がっています。

調査から約6年を経過した現在の平成31年では、さらに生活を重視する傾向が顕著になっています。ビジネスSNS「Wantedly」が行った20代から30代を中心にした若手社員層に対するアンケートでは、「昇進よりも自由が大切」が約83%です。

仕事が第一ではなく、働きつつも生活を楽しみたいと考える若者が多く、仕事の優先順位が必ずしも1番とならないことがわかります。若者の傾向を示す調査から、若手社員を育成するためには、仕事の楽しさを実感してもらうことが大切と言えるでしょう。

1-2 自分の能力や個性を生かして働きたい

同様の厚生労働省の調査には、会社の選択理由という項目があります。最も回答が多かったのは、約35%で「自分の能力・個性が生かせるから」でした。

終身雇用の考えが強かった頃は、会社の将来性や技術の習得といった項目が高く推移していましたが、現在では、自分自身を評価してもらうことや肯定してもらうことを重視しているようです。

求人型就活サイト・OfferBoxの新卒調査によると、「将来的に転職はありか」という問いに対して約6割が「あり」と回答しています。主な理由には、「自分のやりたいことを重視するから」が2番目に多く、自分がどのように働きたいか、やりがいがあるかを重視していると分かります。

若手社員それぞれの能力や個性、興味などに気づき、伸ばしていくことが、早期戦力化するために必要と言うことができます。

1-3 IT技術の発展・学校教育の変化

現代の若手社員は、発展したIT技術と身近に接しながら育ってきています。インターネットの利用が当たり前になり、情報を得るために便利になったものの、正解が分かるため、正解にたどり着く過程はおろそかになりがちです。

LINEやSNSなどコミュニケーションツールが発達したことで、集団での調和を意識し、自己表現ができない、とりあえず形にするといった傾向もあります。

他にも学校教育の変化から、怒られる経験やプレッシャーを受ける機会が少なくなり、メンタルの不安定さも傾向の一つと言われています。

「今時の若者は」という言葉を耳にすることも多いですが、育つ環境は時代によっても、個人によっても違います。若者が置かれてきた環境や培われた考え方を理解した上で接することで、企業の戦力として成長を引き出すことができます。

2.若手社員の早期育成がもたらす効果

当たり前ではありますが若手社員は、既存社員よりも経験が少なく、できない仕事も多くあります。仕事を既存社員で行う方が早く終わったり、上手くいったりすることも多くあるでしょう。仕事を円滑に進めるためには、若手社員である必要はないかもしれません。

しかし、企業には若手社員は必要です。仕事が早く終わるからといって教育を放棄もしくはないがしろにすれば、新たな戦力にはなりません。若手社員が活躍することで、企業は発展していきます。若手社員が早くに戦力になることによる効果を見ていきましょう。

2-1 現代は人材難・人材獲得競争の時代

就職難と言われた時代から、今では、人材不足、人材獲得競争の時代へと進んでいます。「平成27年新規学卒者の離職状況」によると、大学卒3年離職率は31.8%となっています。合わせて、「平成29年雇用動向調査の概況」では、一般労働者の入職率12.1%、離職率11.6%とデータが出ています。

入職が増えるということは、雇用が好景気であることを表しますが、求職者である若者が企業を選べるとも言うことができます。

やりがいがなかったり、個性を生かせなかったりすると、若手社員は流出してしまいます。優秀な若者は、企業による獲得が激化し、自社で獲得できないこともあるでしょう。

若手社員の早期育成は、企業の人材確保の側面もあります。若手社員を大切に育て、企業で働き続けてもらうことで企業の発展も望めます。

2-2 若手社員は企業風土を表す存在

若手社員が戦力になっている企業は、若手をはじめとした社員への教育が行き届いた信頼できる企業と言うことができます。若手社員は、これから企業を支えていく人材であり、継続的に取引を行う上で、将来性を判断する基準でもあります。

若手社員の姿として、ビジネスマナーや常識なども大切です。社会に出て数年の若手社員を教育するのは、上司であり、若手社員の評価だけでなく、企業としての評価にも影響します。若手であったとしても、企業の代表として1人前に育てる必要があります。

2-3 企業の長期的発展の土台を作る

転職などの離職だけでなく、定年退職や異動などによって、企業の人材や体制は変化していきます。中堅社員、ベテラン、マネージャー、支店長など役職にも変化があります。

人材や体制の変化は、ネガティブなものではなく、ポジティブであるべきでしょう。若手社員は、流動性のある企業体制において、長期的発展の土台と言うことができます。若手社員が戦力になることで、人材の出入りがあったとしても、下から支える力となります。

働き続けることで、管理職になり、新たな若手社員の教育を行う存在になることも期待できます。目の前の仕事を終えることだけでなく、若手社員の成長を促すことも、企業の長期的発展には不可欠です。

3.若手社員を早期育成するために教えるべきこと

「社員を育てよう」とすると、とりあえず仕事を任せる、知識を教えるなど、仕事の内容だけを教えるだけで、肝心の社会人としての考え方や仕事の仕方をおろそかにする場合があります。

若手社員の早期育成にあたっては、ある仕事ができるようになるではなく、仕事に対してどう取り組むか、行動するかを、仕事を通して教えることが重要です。

3-1 社会人の基礎を身に付け、習慣化する

若手社員を早期戦力化するためには、社会人としての基礎や企業理念の理解など基礎的な部分の育成が前提です。社会常識やビジネスマナーは、自社で勤務するだけでなく、取引先などとのコミュニケーションにも欠かせません。

企業理念は、企業が大切にしている考え方や目標を共有するための指標です。若手社員に、企業の一員であることを自覚させるものであり、企業理念を理解した上で責任ある仕事、行動をとるきっかけとすることができます。

ただ社会人の基礎を覚えるだけでは意味がありません。ビジネスマナーや企業理念を習慣化することを目指しましょう。研修などの機会で教えても、仕事をしていく中で意識が薄れることもあるでしょう。

実際に仕事で活用する場面や意図も合わせて伝えること、面談やミーティングなどで振り返りをすることなど、社会人としての基礎が習慣として行動に現れるまでが教育と言えます。

3-2 一人で仕事を完遂するための当事者意識を育てる

若手社員に対する意見には、

・「指示がないと動かない」

・「自主的に考えない」

などの主体性に欠けているという声が聞かれます。仕事に対して、主体性がないのは、当事者意識がないからと言うことができます。

若手社員は、管理職のように企業の方針に関わる経験が少なく、目の前の仕事に精一杯で、企業活動に当事者意識を持ちにくい環境に置かれています。企業の戦力となっていく若手社員に、当事者意識を持たせることが重要です。

当事者意識を持つことで、仕事をこなすだけでなく、どうすれば結果がでるのか、効率的にできるのかなど疑問が生まれます。

若手社員を育てる上司は、仕事をただ任せるだけでなく、若手社員の意見を取り入れたり、疑問を引き出したりして、自ら考えて仕事をする働きかけを心がけましょう。

3-3 困難な状況を乗り越える行動力や思考を育てる

IT技術、教育の変化によって、若者の育ちが変わっていると先述しました。

育つ環境の変化によって、

・叱られる経験が少ない

・競争よりも調和を重視する

・苦手なことは避けられる

などがあると考えられています。

仕事をしていくと、上手くできないことや自分を変えなければならない場面など困難な状況にぶつかります。壁にぶつかった時に、自ら考え、行動できないのが、現代の若手社員の特徴の一つです。

若手社員が一人で解決できない問題でも、上司が一緒に考えたり、行動したりすることなどで、困難を乗り越えた経験を作りましょう。成功体験を積み重ねることで、困難に対する考え方や行動が身に付き、めげずに努力する姿勢を育てることができます。

4.若手社員を早く育てるために上司も変わろう

若手社員を早期戦力化するためには、教育システムや教育方法が大切と考える方も多いでしょう。システムや方法も大切ですが、若手社員を育てるのは上司であり、上司の接し方や教え方も早期戦力化には欠かせない要素です。

若手社員の落ち度や失敗を指摘するだけでなく、上司も若手社員への働きかけを見直してみましょう。

4-1 現代の若者に合ったコミュニケーションを心がけよう

上司が受けた教育と、現代の若手社員への教育が同じで良いとは言えません。例えば、「とにかく仕事をこなして成長するんだ!」と伝えたとすると、ワークライフバランスを重視する考え方などから若手社員には合わないと考えられます。

現代の若手社員は、調和を重んじ、自己肯定感を求める傾向があります。AMP(ビジネスインスピレーションメディア)によると、若手社員の約5割が上司の言葉でモチベーションが上がると答えています。上司の言葉の中でも、「あなたなら大丈夫」「期待している」といった認める言葉に心を動かされているようです。

若者の承認欲求を認めた上で、できないことを叱るのではなく、努力を認め、長所を伸ばすことが、若手社員を育てるコミュニケーションと言うことができます。

4-2 指示だけでなく説明・実演・評価の流れで教育する

仕事の指示だけで教えた気になってはいけません。指示を守って仕事をするだけでは、仕事につながりが生まれないことややりがいを得られないことなど、成長につながっていきません。

指示をするだけでなく、仕事に対して、説明・実演・評価の流れを意識して教育をするようにしましょう。指示した仕事がなぜ必要であるのかといった前提から説明し、やり方を教えます。

言葉だけでは伝わらないこともあります。PC操作などどのようにして仕事をするのかを実演し、方向性を示すことが大切です。

仕事に対する評価も不可欠です。評価がなければ、やりっぱなしになり、上手くできたのか、できなかったのかわからず、達成感や肯定感を得られません。若手社員の仕事に対して、しっかりと評価し、経験を重ねていくことが、早期戦力化に必要です。

4-3 振り返りの機会を作る

若手社員の仕事に対して、上司との面談などで振り返る機会を作りましょう。上司にも仕事があり、簡単な言葉での評価にとどまってしまうことも考えられます。週単位や月単位など定期的に振り返りの機会を作ることで、若手社員の仕事への意識や悩みを知ることができます。

一つ一つの仕事に関する分析だけでなく、まとまった期間での達成度、悩みなどを把握することが可能です。若手社員は、振り返りをきっかけに、行動を変えたり、改善点に取り組んだりすることで、仕事のスキルを向上することができます。

上司にとっても、若手社員が仕事をどう考えているかわかり、早期戦力化を実現するために、若手社員それぞれに合った教育計画を練ることが可能になります。

5.若手社員を早く育てるための教育方法

若手社員を早期戦力化するための具体的な教育方法を解説していきます。若手社員の接し方・教え方を意識しながら、効果的な教育方法を取り入れることで、より早く戦力となる若手社員を育成することができます。

5-1 OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)

OJTは、オン・ザ・ジョブ・トレーニングの略称で、現場での仕事を通して、社員の育成を行う方法です。多くの企業で、若手社員の早期育成方法として、広く導入されています。

仕事の知識だけを教えるのではなく、現場で仕事をしながら、経験を積み、早期戦力として育てることができます。若手社員それぞれのスキルなどに合わせた仕事から学ぶなど計画的なOJTが、若手社員の早期戦力化を可能にします。

5-2 Off-JT(オフ・ザ・ジョブ・トレーニング)

OJTが仕事を通して若手社員の育成を図るのに対して、Off-JTは業務外で仕事について教える教育方法です。Off-JTと表現すると馴染みがないかもしれません。研修やセミナーがOff-JTに含まれるため、経験している方も多く、導入している企業がほとんどです。

業務内で行うOJTに比べて、Off-JTは座学形式などでまとまった時間を教育に充てることができます。専門的な業務知識や社会人の基礎を学ぶ機会として最適です。

Off-JTは、通常業務から離れることやコストがかかることなどから、頻繁に行うことは難しいと言えます。Off-JT後に、教えっぱなしではなく、研修内容の振り返りを行い、仕事に反映できるように教育を続けることが大切です。

5-3 キャリアマップ

若手社員を早く戦力にするためには、企業でのキャリアを考える機会を作ることも一つの方法です。企業でどのように成長したいか、キャリアアップしたいかなど成長する姿をイメージすることが日々の努力につながります。

キャリアを考える方法として、キャリアマップがあります。キャリアマップは、厚生労働省で考案された方法で、キャリアの道筋と習熟度の目安が示された表です。どの程度のスキルがあって、キャリアが形成されるのかが分かり、キャリア意識や目標を持つことができます。

キャリアマップを活用し、若手社員の目標やモチベーションを管理することで、早期戦力化に向けて、効果的な教育を可能にします。

6.若手社員の育成に取り組む企業事例

若手社員の早期戦力化は、多くの企業の課題であり、既に取り組んでいる企業も多くあります。これから若手社員の早期戦力化に取り組む企業や教育担当者は、企業の事例を参考にしてみましょう。

6-1 株式会社Nikon【OJTサポート制度】

カメラで馴染みのある株式会社Nikonでは、OJTサポート制度を採用しています。職場全体で新人を育てる風土を目指し、長くOJTを活用した若手社員育成に取り組んでいます。

OJTを担当するOJT指導員は、1年間若手社員と1対1で指導に当たります。1対1でOJTを完結させるのではなく、他の社員も巻き込み、職場全体での育成を促すのがポイントです。

OJT指導員に対する研修も開催され、教える側と若手社員の両方が成長できる体制づくりがされています。

OJTを行う1対1の関係だけになると、教育の状況が把握できないことも考えられます。株式会社Nikonのように、OJTをきっかけにした若手社員の育成を推進する職場づくりが大切と言えます。

6-2 オタフクグループ【体験で自律性を養う】

お好み焼きソースと言えば、オタフクソースが思い浮かぶことが多いでしょう。オタフクソースを取り扱うオタフクグループでは、新人社員を対象に、キャベツ農場研修を実施しています。

ソースづくりに欠かせないキャベツを育てる経験を通して、仕事への理解を深める取り組みです。キャベツ栽培から、自主性や仲間とのコミュニケーションなどを身に付けた自律的な人材の育成を目指しています。

若手社員の育成は、知識の教育だけでなく、体験を通して実感を伴った理解が欠かせません。研修を導入する際は、体験から学ぶことができる機会の創出を検討してみましょう。

7.まとめ

若手社員は、企業の長期的発展を支える貴重な人材です。若手社員を早期戦力化するためには、若手を育てる上司の働きかけ、OJTなどの効果的な教育が求められます。

ただ仕事を任せるのではなく、社会人の基礎の習慣化、当事者意識の育成、壁に立ち向かう行動力・思考力の育成によって、若手社員が戦力になっていきます。

若手社員の育成に取り組む企業事例は多くあります。事例を参考にしつつ、自社の若手社員・上司それぞれを見直し、若手社員の早期戦力化を図りましょう。

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