人事の人手不足をHRテックで補おう。人手不足の現状や業務別HRテックをご紹介

現在、日本では、企業の人材不足が叫ばれています。人口減少といった日本全体の問題点もありますが、有効求人倍率の上昇、非正規雇用の増加などが要因と考えられています。

他にも、ワークライフバランスの重視やフリーランスという選択肢など企業に求める事柄の変化もあり、これまでの企業体制や採用活動では人材を獲得できないことも要因の一つでしょう。

企業には、各部署があり、それぞれの部署が仕事を分担しています。中でも人事部の人手不足が深刻です。これまでは多くの人員を必要としていない部署であったため、人員が少なくてもなんとか業務を遂行できていました。しかし、働き方改革など人事部による采配が増えたことにより、今までの人数で回すことが難しくなってきました。企業を支える社員をサポートする人事部の人手不足は、企業活動に直接影響を及ぼします。

今回は、人事の人手不足の現状を振り返った上で、人事のデジタル化・戦略化といった解決策や活用したいHRテックを詳しく解説していきます。

 

1.人事の人手不足の現状

日本の人手不足の現状を、人事部に焦点を絞って見ていきましょう。人事部は、企業に欠かせない部署であり、採用、育成、管理など、人を支える部署です。人事部が置かれている現状を理解し、人材不足の解決策を検討していきましょう。

1-1 人手不足が深刻化

着ぐるみを着たお笑い芸人・バカリズムさんと女優・松岡茉優さんの登場するCMでおなじみの転職サイト・エンジャパンでは、企業の人材不足実態調査を行いました。エンジャパンが運営するサイト「人事のミカタ」を利用する762社もの企業を対象にした調査であるため、現場目線での人手不足を知ることができます。

「人手不足を感じている部門があるか」という問いに対して、9割の企業が「ある」と答えています。業種別、従業員数別に見ても、8割から9割の企業が人手不足を実感していることがわかります。

業種、規模を問わず、人手不足を感じていることから、アンケートに参加していない中小企業の現状も深刻と予想されます。

1-2 人手不足を感じている部門第3位が人事部を含む企画職

次に、部門別に人手不足を感じている部署がどの部署であるかを見ていきます。人材不足が最も顕著であるのが、35%の企業が回答した営業職です。18%回答の技術系が続き、人事部を含む企画職が16%で、3位にランクインしています。

営業など現場で活躍する部署の人手不足が目立ちますが、人材の管理をする部署としては人事部がトップと言うことができます。企業を支える存在として欠かせない部署である人事部が人手不足であることは、深刻な状況です。

1-3 人手不足の原因

アンケートには、人手不足の原因をどのように捉えているかも含まれています。57%の企業が、「退職による欠員」と回答しています。残業や休日出勤、勤務時間などを考慮した働き方の選択が浸透しつつあるため、人材の流出が顕著になっています。

また一度退職などで人手不足に陥ると、新規採用ができない限り、残業などで人手不足を埋めるしかなくなり、退職者を生み出す負のループが起こる可能性もあります。

人材流出のループを抜け出すために、企業がどのような対策を考えているかを見ていきましょう。

2.企業が考える人事部の人手不足解決策

企業が陥る人手不足の解決策についても、エンジャパンのアンケートに含まれています。人手不足の解決策に、新規人材採用が効果的と言い切れない現状がある中、企業はどのように解決策を考えているのでしょうか。

2-1 86%の企業が「新規人材採用」と回答

アンケートに回答した企業の86%が、欠員補充の方法として、「新規人材の採用」を考えています。企業の置かれている現状を考慮すると、新規人材採用のハードルは年々高くなっているため、必ずしも効果的とは言えないでしょう。

人材獲得競争に敗れ、人材を確保できなかった企業の中には、「人手不足倒産」を起こしてしまう企業も現れています。人材採用・育成にかかるコストや時間を考えても、新規人材採用は、即効性に欠けると言うことができるでしょう。

2-2 今求められるのは「既存の業務を効率化」すること

35%の企業が回答した「既存の業務を効率化する」という解決策が、現代では求められています。人材採用が難しい中で、いかに現在の社員への負荷を回避しつつ、企業活動を活性化させるかを考えると、効率化が最適と言えるでしょう。

特に人事部においては、HRテックと呼ばれるテクノロジーによって、人事のデジタル化が進んでいます。人手不足の現状を理解し、デジタル化といったシステムの改善による人手不足解消を検討する必要があります。

3.人手不足に伴って進む人事部像の変化

人手不足が進む中で、人事に求められる業務が変化しつつあります。これまでの人事業務は、勤怠管理や労務管理など定形的業務が多い傾向がありました。定形的業務を効率化し、人材採用や人材育成など企業戦略に関わる戦略的人事になることが求められます。

3-1 戦略人事とは

戦略人事とは、企業目標の実現のために、経営戦略に参画する人事のことを言います。定形的業務、人材に関わる体制の維持から進んで、企業の発展や競合他社との差別化などの観点で行う人事業務が求められます。

日本最大のHRネットワーク「日本の人事部」が作成した人事白書2018には、戦略的人事に関する調査があります。戦略人事が重要であると回答した企業は9割を超え、比較的業績の良い企業ほど重要性を実感しています。

これまでの人事業務からの変化の必要性を企業が実感している中、戦略人事が機能していると答えた企業が31.6%という点にも注目です。人手不足解消など経営に関わっていく戦略人事が今後ますます求められることが予想されます。

3-2 戦略人事が求められる背景

戦略人事が求められる背景には、これまでの人事の位置づけが大きく関わってきます。人事部は、定形的業務を担う部署であり、企業経営から離れ、管理を主に行う部署になる傾向がありました。

徐々にグローバルな視点が、日本企業にもたらされ、業務内容も広がりました。多岐に渡る業務を行うためには、人材配置や人材育成など経営に近い動きの必要性が生まれ、戦略人事を求める現在に至っています。

3-3 戦略人事が浸透しない理由

戦略人事の機能を自覚する企業は31.6%であり、まだまだ浸透しているとは言えません。人事白書2018年では、戦略人事が機能しない理由として、以下の回答がされています。

・「人事部門のリソースの問題」:54.6%

・「経営陣の問題」:45.4%

・「人事部門の位置づけの問題」:43.8%

・「人事部門のメンバーの能力の問題」:43.6%

・「人事部門の経営視点欠如の問題」:35.3%

・「人事部門の意識の問題」:31.2%

・「コミュニケーションの問題」:23.6%

人事に関する問題がほとんどを占めています。これまでの人事では必要とされなかった能力や視点、意識については、改善の余地があります。しかしリソースの問題は、人手不足と言い換えることができ、解決が求められます。

そこで、考えたいのが、人事のデジタル化です。人事業務をHRテックなどによって、デジタル化し、リソース問題を解決できれば、スキルや視点の問題の解決に時間を使うことができるでしょう。人事の人手不足を解決方法の一つとして、HRテックについて、詳しく見ていきましょう。

4.人事の人手不足を補うツール「HRテック」

人事業務を変え、戦略人事を生み出すツールに、HRテックがあります。HRテックとは、人事にテクノロジーを導入したツールのことを指します。HRテックは、これまでの人事業務に取って代わる存在になり得るため、人事の人手不足を解消するものとして、注目を集めています。

4-1 HRテックとは

HRテックは、人事を表す「human resourse」、「technology」を略したテックを組み合わせた言葉です。人間が行ってきた業務に、テクノロジーを導入することで、大幅に人事業務が効率化されます。

HRテックは、アメリカで生まれたツールです。労務管理など管理業務から人材それぞれに注目するタレントマネジメントなどに変化した中で、より人に関わる人事が求められたためとされています。

クラウドサービスやスマートフォンの普及などもHRテックの活用を後押しし、日本の企業にも導入が進んでいます。

4-2 労務管理・勤怠管理を効率化する

人事の基本となる業務には、労務管理や勤怠管理などがあります。社員の入社や退社、キャリアアップ、出産による育児休暇など、時期や出来事に伴う手続きを労務管理として行います。書類を揃えることや記入など定形的業務に追われる場合も多いです。

勤怠管理についても、全社員の労働時間を管理・チェックするため、時間を要します。変形労働制やフレックスタイムなど労働体系の変化も、業務を複雑化させる要因となります。

HRテックは、労務管理や勤怠管理において、データ入力だけで完結できたり、設定して自動で運用できたりするなど、これまでの定形的業務を効率化します。人事業務の大部分である管理業務をHRテックに任せることで、戦略人事への転換が可能になります。

4-3 採用活動を活性化する

HRテックは、人事データの管理だけでなく、データを活用した分析もできます。就活市場が変化している中、1年に1度訪れる新卒採用を毎年同じ方法で行うことは得策ではありません。

現在自社で活躍している人材がどのような人材かをデータで把握し、求める人材像を可視化することで、より自社に合った人材を獲得することができます。

採用後の離職を防ぐ役割も持ちます。主観的だった人材配置を、データを参考に行うことで、モチベーション高く仕事に取り組む効果があります。人事データを活用し、人材戦略を立て、獲得・育成を活性化させましょう。

5.人事の人手不足を解消するHRテック5選

日本にも浸透しつつあるHRテックは、様々な人事業務に対して、開発されています。人事業務は多岐に渡るため、全てではなく、効率化したい分野からHRテックを取り入れていくのも一つの方法です。

今回紹介するHRテックは、

・SmartHR

・ジョブカン

・HRMOS

・ゼッタイ!評価

・TUNAG

の5つで、人事業務の分野ごとにピックアップしました。HRテックの導入を考えている企業は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

5-1 SmartHR【労務管理】

SmartHRは、労務管理を効率化できるHRテックです。「集まる」「蓄まる」「活用できる」という3つの特徴があります。

「集まる」という特徴には、従業員自身が社員情報を入力したり、資料を作成したりできることがあります。書類に直接記入することなく、データが集まるため、役所への書類提出もデータで提出が可能です。

「蓄まる」データは、社員自身が入力を行っているため、常に最新となります。データの照合などを省くことができ、業務を効率化します。

SmartHRは、外部サービスとの連携やオプション機能による拡張によって、さらに他分野に活用することができます。勤怠管理や採用管理に関わるHRテックと連携し、さらなる人事の効率化を実現します。年末調整や給与明細、各種書類の手間を削減し、戦略的業務に力を注ぐことが可能になります。

5-2 ジョブカン【勤怠管理】

重要な人事業務である勤怠管理も、HRテックで効率化することができます。

ジョブカンでできることは、

・出勤管理

・シフト管理

・休暇・申請管理

・工数管理

の4つです。出勤管理は、出勤・休憩・遅刻・退勤などの打刻をリアルタイムで管理することができます。スマートフォンで打刻することができ、GRSやLINEなどを活用し、簡単に打刻可能です。

シフトを作成することもでき、労働体系に合ったシフトを直感的に作成します。休暇申請も簡単にできるため、余分な手続きを省略することができます。

医療機関に特化したシフトパターンや外国語表示、働き方改革関連法に対応した超過労働対策など、あらゆる企業に対応した勤怠管理システムを実現します。

5-3 HRMOS【採用管理】

HRMOSは、戦略人事を実現する採用管理ツールです。戦略人事に求められる採用活動の活性化に役立ち、人事の人手不足解消にも効果があります。

HRMOSの特徴は、採用に関わる業務を一元管理できる点です。応募者管理や分析などをまとめて行うことができるため、採用業務をリンクさせやすくなります。

特に分析は、採用において重要で、どのように応募者を評価したかといった個人データだけでなく、応募数など採用全体のデータも確認することができます。データを活用し、採用戦略を立て、人材獲得を目指しましょう。

求人情報の発信もHRMOSでできます。TwitterなどSNSが力を持っているため、積極的に外部の媒体で採用に取り組むことも必要になってきており、HRMOSが役立ちます。

5-4 リクナビHRテック 評価管理【人事評価管理】

就職サイト・リクナビは、リクナビHRテックとして、人事評価管理をはじめ、採用管理、勤怠管理などのHRテックをリリースしています。

リクナビHRテック 評価管理は、人事評価制度が整っていないという企業でもすぐに整備することができ、0円で運用することが可能です。

社員のデータを入力するだけで、社員一覧から評価を確認することができます。目標シートのデータは、蓄積されるため、過去のデータを参考にしたり、時期別などで集計したりすることもでき、評価分析に最適です。

評価管理シートを部署ごとに分けることや評価基準を追加することも可能であるため、人事評価の方針によって、アレンジすることもできます。

5-5 TUNAG【社内環境改善】

人事が戦略人事になるための一つとして、社内環境改善に参加することも考えられます。TUNAGは社内SNSの一つで、企業への愛着を示すエンゲージメントを高めるなど組織の課題を解決するツールです。

SNS機能やプロフィール機能を活用して、社内コミュニケーションを促すことができます。組織課題に合わせた運用方法のカスタマイズやデータ活用によって、ミーティングや評価など人事業務の活性化にも役立ちます。

6.まとめ

日本の企業の人手不足は、企業内の部署に影響を与えています。人事部は人手不足でありながら、新しい役目を求められているため、人手不足の解消策として、業務の効率化が求められています。

人事業務の効率化を助けるのが、HRテックです。HRテックでデータ管理、分析、活用をすることで、人事業務を減らした上で、戦略人事としての業務に注力することができます。人事の人手不足に悩む企業は、HRテックを導入し、業務の効率化から始めてみましょう。

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